健康な成人26人を対象に比較試験を実施
野菜飲料を食事の最初に飲む「野菜飲料ファースト」の効果を検証
カゴメ株式会社(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:奥谷晴信)は、野菜飲料を食事の最初に摂取した際の食後血糖値への影響について、新たな研究成果を発表しました。今回の研究では、同社の野菜飲料「野菜一日これ一本」を白米の摂取直前に飲んだ場合と、水や同量の糖質を含む糖液を飲んだ場合を比較しました。その結果、野菜飲料を摂取した場合は、同量の糖質を含む糖液と比較して、食後早期のグルコース値の上昇が統計学的に有意に小さくなることが確認されました。
また、野菜飲料を摂取した場合と水を摂取した場合では、複数の食後血糖指標に統計学的な差が認められませんでした。本研究成果は学術誌「日本栄養・食糧学会誌」に掲載され、2026年10月28日に科学技術情報発信・流通総合システム「J-STAGE」で公開されています。
野菜飲料を食事の最初に飲む「野菜飲料ファースト」に着目
ベジタブルファーストの考え方を日常の食生活へ
食事の最初に野菜を摂取する「ベジタブルファースト」は、食後血糖値の急激な上昇を抑える食事方法の一つとして知られています。カゴメでは、これまでにも野菜ジュースを食前に摂取することで、食後血糖値の上昇を抑制できる可能性を報告してきました。一方、日常生活では飲料を摂取してから食事まで十分な時間を空けることが難しい場合もあります。
そこで今回の研究では、野菜飲料を飲んだ直後に白米を食べるという、実際の食生活に近い条件で検証を実施しました。さらに、持続血糖測定装置を活用することで、食後180分間にわたるグルコース値の変動を詳しく調査しています。
健康な成人26人を対象に3種類の試験食を比較

「野菜一日これ一本」200mLと白米150gで検証
研究では、2023年11月から2024年2月にかけて、カゴメ総合研究所に勤務する20歳以上の従業員を対象に参加者を募集しました。試験への参加に同意した30人のうち、規定通りに試験を完了した26人のデータを解析しています。
比較した試験食は、次の3種類です。
| 試験条件 | 摂取内容 |
|---|---|
| 対照食 | 水200mL+白米150g |
| 野菜飲料食 | 「野菜一日これ一本」200mL+白米150g |
| 糖液食 | グラニュー糖13.2gを含む糖液200mL+白米150g |
野菜飲料食と糖液食は、飲料に含まれる糖質量を同じ13.2gに設定しています。参加者は各試験食をそれぞれ2回、合計6回摂取し、食後のグルコース値を比較しました。試験当日は午前8時に飲料をすべて摂取した後、時間を空けずに白米を食べる条件としました。また、前日の午後9時以降は水または白湯以外の飲食を控えるなど、測定条件を統一しています。
持続血糖測定装置で食後180分間の変動を分析
測定には、アボット社の持続血糖測定装置「FreeStyle Libre」を使用しました。同装置は、血糖値の変動を反映する間質中グルコース値を継続的に測定できるもので、食後の細かな変化を把握することができます。
研究では、食後の最大グルコース変化量や上昇曲線下面積(IAUC)、ピーク到達時間、上昇速度などを分析し、3種類の試験食による違いを評価しました。
研究結果:野菜飲料は糖液より食後早期のグルコース上昇が小さい

各群の15分ごとのΔグルコース値の平均値を折れ線グラフで示した。 P < 0.01,* P < 0.001 vs 糖液食(Wilcoxon signed rank exact testを行い、Bonferroni補正を実施した)。
食後15分・30分のグルコース値に有意差
解析の結果、糖液食を摂取した場合は、対照食および野菜飲料食と比較して、食後早期のグルコース値の上昇を示す複数の指標が統計学的に有意に高くなりました。
具体的には、以下の指標で有意差が確認されています。
- 食後15分および30分のグルコース値の変化量
- 摂取後60分までの上昇曲線下面積(IAUC)
- グルコース値の最大変化量をピーク到達時間で除した上昇速度の指標
いずれも統計学的な有意差を示す基準であるp値0.05未満でした。同じ13.2gの糖質を含んでいても、野菜飲料と糖液では、食後早期のグルコース応答に違いが生じることが示されました。

A:摂取後60分までのグルコース値の推移から算出した上昇曲線下面積, B:食後のグルコース値の最大変化量(ΔCmax)をグルコース値がピークに達するまでの時間(Tmax)で除した値. p:ウィルコクソンの符号付順位和検定の結果をボンフェローニ補正をした値, 赤字: p < 0.05, ◆: 各群の平均値. N = 26.
野菜飲料と水では統計学的な差が認められず
一方、野菜飲料食と水を摂取した対照食を比較したところ、評価した食後血糖指標に統計学的な有意差は認められませんでした。野菜飲料には13.2gの糖質が含まれており、白米と合わせた糖質摂取量は水を飲んだ場合より多くなります。それにもかかわらず、今回の条件では水を摂取した場合と明確な統計学的差が認められなかったことが特徴です。ただし、有意差が認められなかったことは、両者の影響が完全に同等であると証明されたことを意味するものではありません。
今回の結果は、食事の糖質量を減らさず、野菜飲料を飲んだ直後に食事を始める条件においても、同量の糖質を含む糖液より食後早期のグルコース上昇が小さくなる可能性を示しています。
なぜ野菜飲料は食後血糖値の上昇を抑えられる可能性があるのか
食物繊維や有機酸、ポリフェノールなどの関与に注目
今回の研究では、野菜飲料と糖液で食後のグルコース応答に違いが生じた詳しいメカニズムまでは解明されていません。ただし、これまでの研究では、食品に含まれる食物繊維や有機酸が糖質の吸収速度に影響することや、植物由来ポリフェノールを含む食品・飲料が食後早期の血糖応答に影響することが報告されています。
こうした先行研究を踏まえ、カゴメでは、野菜飲料に含まれる糖質以外の成分が今回の結果に寄与した可能性があると考えています。今後は、どのような成分が血糖応答に関与しているのか、その作用メカニズムについてさらなる検証が必要としています。
日常の食生活における野菜飲料の新たな可能性
今回の研究で注目されるのは、食事の前に長い待ち時間を設けず、野菜飲料を飲んだ直後に白米を摂取する条件で検証が行われた点です。これまでのベジタブルファーストに関する知見に加え、野菜飲料を食事の最初に摂取する方法についても、新たな科学的知見が得られました。ただし、本研究は健康な成人26人を対象とした短時間の比較試験であり、糖尿病患者への効果や長期的な血糖管理、糖尿病予防への有効性を証明したものではありません。
また、測定したのは血液中の血糖値そのものではなく、血糖変動を反映する間質中グルコース値です。今後、対象者や食事内容を広げた研究が進むことで、野菜飲料の摂取と食後血糖応答の関係について、さらに理解が深まることが期待されます。
掲載論文情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文名 | 野菜飲料ファーストによる食後血糖応答:水、野菜飲料および糖液とのクロスオーバー比較試験 |
| 掲載誌 | 日本栄養・食糧学会誌 |
| 公開日 | 2026年10月28日 |
| 著者 | 吉田悠、牛田悠介、関谷美保子、井上拓郎、鈴木重德 |
| DOI | https://doi.org/10.4327/jsnfs.79.389 |
| 研究発表企業 | カゴメ株式会社 |
参考文献
1)Kanamoto I, Inoue Y, Moriuchi T, Yamada Y, Imura H, Sato S (2010) Effect of Differences in Low Glycemic Index Food Intake Sequence on Plasma Glucose Profile. Journal of the Japan Diabetic Society 53: 96-101.
2)Kasuya N, Inoue N, Inoue Y, Murata I, Kanamoto I (2019) Effect of vegetable juice consumption prior to eating rice on postprandial blood glucose and insulin levels. Exp Ther Med 18: 3817-22.
3)吉田和敬, 砂堀論, 菅沼大行 (2018) 米飯摂取前の野菜飲料または野菜サラダの摂取が食後血糖値に及ぼす影響. 日本病態栄養学会誌 21: 487-494.
4)Bailey T, BodeBW, Christiansen MP, Klaff LJ, Alva S (2015) The Performance and Usability of a Factory-Calibrated Flash Glucose Monitoring System. Diabetes Technol Ther 17: 787-94.
5)Giuntini EB, Sardá FAH, de Menezes EW (2022) The Effects of Soluble Dietary Fibers on Glycemic Response: An Overview and Futures Perspectives. Foods 11: 3934.
6)Shahidi F, Danielski R (2024) Review on the Role of Polyphenols in Preventing and Treating Type 2 Diabetes: Evidence from In Vitro and In Vivo Studies. Nutrients 16: 3159.
注の解説
* クロスオーバー比較試験
同じ対象者に期間を分けて異なる治療や介入(本研究では、対照食、野菜飲料食、糖液食の3つ条件の食事)を順番に受けてもらい、その効果を比較する研究デザインです。対象者間の個人差の影響を抑え、少ない人数で効率よく介入の効果を確かめる方法です。
* 持続血糖測定装置
一定期間の血糖値を連続的に測定する装置のことです。これまでの血糖測定では採血を行う必要がありましたが、血糖値は数分ごとに変動することから、従前の測定方法では血糖の変動を捉えきれない課題が指摘されていました。持続血糖測定装置を使用することで、血糖の変動をより詳細に把握することができます。
記事要約(Summary)
カゴメ株式会社は、野菜飲料「野菜一日これ一本」を食事の最初に摂取した場合の食後血糖値への影響について、健康な成人26人を対象とした比較試験の結果を発表しました。研究では、野菜飲料200mLと白米150gを摂取した場合、同量の糖質を含む糖液と白米を摂取した場合より、食後早期のグルコース上昇を示す複数の指標が有意に低いことが確認されました。また、水と白米を摂取した場合と野菜飲料を摂取した場合では、食後血糖指標に統計学的な差は認められませんでした。
今回の成果は、野菜飲料を食事の最初に飲む「野菜飲料ファースト」が、日常的な食事条件でも食後早期のグルコース応答に影響する可能性を示すものです。その作用メカニズムや長期的な健康への影響については、引き続き研究が必要とされています。
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