不正競争防止法に基づき製造・販売の差止めと111万6000円の損害賠償を請求
ローズ状ソフトクリームの商品形態をめぐり東京地裁へ
株式会社milkkissは2026年9月16日、ミニストップ株式会社に対し、自社が企画・開発してきたソフトクリームの商品形態を模倣した商品を製造・販売しているとして、不正競争防止法に基づく製造・販売などの差止めと損害賠償を求め、東京地方裁判所に訴訟を提起したと発表した。milkkiss側は今回の訴訟について、金銭的な賠償そのものを主目的としているのではなく、競合他社の商品を「参考にすること」と、先行事業者が開発した具体的な商品形態を「実質的に再現すること」の境界について、司法判断を求めることが大きな目的だとしている。
なお、本件は現在係争中であり、商品の模倣や依拠性などに関する内容はmilkkiss側の主張で、現時点で裁判所による判断が示されたものではない。
milkkissが問題視するのは「同じカップの使用」ではなく商品全体の接近
milkkissは、透明カップや特定のソフトクリーム製造機、ノズル、ローズ状のソフトクリームといった個々の要素自体について、独占を主張しているわけではないと説明している。ミニストップが展開する「MINISOF」では以前から、milkkissと同一型番の透明カップが使用されていたという。しかしmilkkissによると、当時の商品にはソフトクリームの形状やソースの使い方、商品構成などに独自の工夫がみられたため、その時点では問題視していなかったとしている。
今回、同社が問題としているのは容器単体ではなく、その後、ソフトクリームの成形方法や使用設備、商品構成、ラインナップなどを含め、商品全体が段階的に自社商品へ接近していったとする一連の経緯だ。
2025年4月頃から花弁・ローズ状のソフトクリームを展開
milkkissは2025年4月頃から、透明カップの中でソフトクリームそのものの立体的な造形を見せる商品を販売してきた。一般的な渦巻き状のソフトクリームとは異なり、花弁やローズを思わせる立体的な形状を特徴としており、その形態を安定して作るため、Carpigiani社製「191型」のソフトクリーム製造機と特定のノズルなどを組み合わせながら商品開発を進めてきたとしている。形状だけでなく、透明な容器を通して造形を見せる商品設計や、フレーバー・ソースを含めた商品構成などを組み合わせ、ブランドの特徴として展開してきたという。
2025年12月、舞浜イクスピアリの催事店舗をミニストップ関係者が訪問と主張
milkkissによると、2025年12月頃、同社が舞浜イクスピアリに催事出店していた際、ミニストップの当時の取締役会長兼新規事業推進担当だった藤本明裕氏を含む複数の関係者が店舗を訪問したという。その際、商品が購入されたほか、店舗や商品、オペレーションについて視察・撮影が行われたとmilkkiss側は説明している。その後、2026年7月には東武百貨店船橋店の催事において、milkkiss側が自社の主要商品と「一致または極めて近似する」とする商品ラインナップが販売されていたとしている。
さらに2026年9月には、milkkissが8月末まで催事販売を行っていた場所で販売が始まり、自社が使用するものと同じCarpigiani社製191型ソフトクリーム製造機や同一のノズルが使用されていることを確認したと主張している。
容器・製造機・ノズル・成形方法・商品構成などを「補強事情」と位置付け
milkkiss側は、商品ラインナップについても自社の主要商品と一致または近似していたほか、イクスピアリでの販売価格も自社商品の販売価格と同額に設定されていたとしている。ただし、販売価格が同じであること自体を「商品形態の模倣」と主張しているわけではない。同社は、同一型番の容器や同一型式の製造機器、同一ノズル、成形方法、商品構成、商品ラインナップなど複数の一致・近似点と併せ、自社商品への依拠性を判断する上での「補強事情」と位置付けている。
これらが不正競争防止法上の「商品形態の模倣」に該当するかどうかについては、今後の裁判で審理されることになる。
「形」だけでなく、商品の希少性やブランド体験を守りたい
milkkissが今回の訴訟で強調しているもう一つのポイントが、商品の「希少性」だ。同社は販売数を増やすことだけを目的に出店場所を広げるのではなく、販売する場所や機会を慎重に選び、「ここでしか出会えない」「限られた場所だからこそ体験する価値がある」と感じてもらえるブランドづくりを進めてきたという。そのため、大規模な販売網を持つ企業によって類似するとする商品が短期間で広範囲に展開された場合、自社が時間をかけて築いてきた商品の独自性だけでなく、「限られた場所で出会える」という希少性や特別感まで損なわれる可能性があると懸念している。
milkkissは、商品の形状だけでなく、「どこで、どのように、どの頻度で商品を届けるか」も含めてブランド体験の一部だとの考えを示している。
「参考」と「商品形態の模倣」はどこで分かれるのか
milkkissは今回、大企業との競争そのものを問題視しているわけではないとしている。他社の商品から着想を得たり、新たな商品開発の参考にしたりすること自体については、新たな商品やサービスを生み出す健全な競争の一つとして否定していない。一方、小規模な事業者が時間や費用を投じ、試作、設備選定、技術調整、市場開拓などを経て完成させた具体的な商品形態に実質的に依拠した商品が、大規模な販売網や資金力を背景として短期間で広く展開されることについては、先行事業者の独自性やブランド価値を損なう可能性があると主張する。
その上で、「競合商品を参考にすること」と「完成した商品形態を実質的に再現すること」は同じではないとして、その法的な境界を今回の訴訟で明らかにしたい考えだ。
不正競争防止法に基づき差止めと111万6000円の損害賠償を請求
今回の訴訟でmilkkissは、不正競争防止法に基づき、対象商品の製造、販売および販売を目的とした展示の差止めを求めている。あわせて、111万6000円の損害賠償を請求している。ただし同社は、訴訟の中心的な目的は損害賠償金の取得ではなく、商品形態の模倣にあたると同社が主張する行為の停止と、将来における同様の行為の抑止にあると説明している。
また、特定の企業を一方的に非難することが目的ではなく、企業規模にかかわらず互いの創意工夫を尊重し、小規模事業者も新しい商品を開発しながら独自性や希少性を守れる市場環境につなげたいとの考えを示している。
今後は「商品形態の模倣」に該当するかが争点に
今回の訴訟では、milkkissが指摘するソフトクリームの形状や容器、製造設備、ノズル、成形方法、商品構成などの一致・近似について、法的にどのような評価がなされるかが注目される。一方、同一または類似した設備・容器を使用することや、ローズ状の形状を採用することなどが、直ちに違法な商品形態の模倣を意味するわけではない。実際に不正競争防止法上の要件を満たすかについては、双方の主張や証拠を踏まえ、裁判所が判断することになる。
今回の訴訟は、ソフトクリームという身近な食品を舞台に、商品デザインや製造方法、商品構成といった複数の要素を組み合わせた「商品らしさ」をどこまで保護できるのか、そして競合商品の「参考」と法的に問題となる「模倣」の境界がどこにあるのかを問う事案となる。
株式会社milkkissについて
株式会社milkkissは、飲食店運営のほか、アイスクリーム・菓子類の企画・開発・製造・販売などを手がける企業。代表取締役は谷藤未歩氏。ローズ状・花弁状の立体的な造形を特徴としたソフトクリームを展開し、催事や期間限定店舗などを通じて販売している。
公式Instagram:https://www.instagram.com/milkkiss_0707/
記事要約(Summary)
株式会社milkkissは2026年9月16日、ソフトクリームの商品形態をめぐり、ミニストップ株式会社を東京地方裁判所に提訴した。milkkiss側は、自社が展開してきたローズ状ソフトクリームについて、容器や製造機器、ノズル、成形方法、商品構成など複数の要素が段階的に接近したと主張。不正競争防止法に基づき、対象商品の製造・販売などの差止めと111万6000円の損害賠償を求めている。同社は、単に同じ透明カップや機械を使用したことを問題としているのではなく、商品全体として自社の完成した商品形態に実質的に依拠したものかどうかを争点としている。また、商品の造形だけでなく、限定的な出店によって築いてきた希少性やブランド体験を守ることも訴訟の目的として挙げている。
本件は現在係争中であり、商品形態の模倣に該当するかについて裁判所の判断はまだ示されていない。今後、「他社商品を参考にした商品開発」と、不正競争防止法上問題となる「商品形態の模倣」の境界について、裁判所がどのような判断を示すかが注目される。
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