全国114組の学生による提案から誕生した公共建築
地域産材の活用や子どもの活動を促す空間設計も評価
愛知県豊橋市が整備を進めた「つつじが丘保育園整備事業(とよはし公共建築学生チャレンジコンペティション)」が、一般社団法人全日本建設技術協会(全建)の2025(令和7)年度「全建賞」の「インフラ整備の事業または施策の部・建築部門」を受賞しました。全国の建築を志す学生からアイデアを募集し、採用された学生自身が企画・設計段階に主体的に参画した公共建築の新しい取り組みや、東三河地域の木材を活用した木造園舎、子どもたちの自発的な活動を促す多彩な保育空間などが高く評価されました。
「全建賞」とは
「全建賞」は、一般社団法人全日本建設技術協会が、国や地方自治体、機構、公社などが実施した優れた建設事業や施策を表彰する制度です。建設技術における創意工夫をはじめ、事業の進め方やインフラの運用方法、国民の安全・安心の確保、公共事業への理解促進など、その事業がもたらした効果や社会への貢献度を総合的に審査して選考されます。
2025年度は全国から268事業の応募があり、そのうち70事業が全建賞を受賞しました。今回、その一つとして豊橋市の「つつじが丘保育園整備事業」が選ばれました。
学生のアイデアから生まれた「つつじが丘保育園」

つつじが丘保育園は、老朽化した新吉保育園を移転する形で、豊橋市佐藤5丁目地内に新たに整備された保育園です。豊橋市は園舎の建設にあたり、2022(令和4)年度に「とよはし公共建築学生チャレンジコンペティション」を開催しました。全国の建築を志す学生から公共建築のアイデアを募集し、寄せられた提案を段階的に選考。採用された建築アイデアについては、提案した学生と保育士などが意見交換を重ねながら、実際の園舎の計画へと具体化していきました。
単に学生からアイデアを募集するだけではなく、学生自身が公共建築整備事業の企画・設計プロセスに主体的に参加する仕組みが大きな特徴となっています。
コンセプトは「風土の中のさんぽミチ」
完成したつつじが丘保育園は、「風土の中のさんぽミチ」をコンセプトとした木造2階建ての園舎です。建物の中心となる中庭を囲むように、縁側空間「さんぽミチ」を配置。深く張り出した軒を生かした半屋外空間となっており、強い日差しや雨を遮りながら、天候に左右されにくい多様な保育活動ができる環境を実現しています。子どもたちが園内を自由に移動しながら、自然や周囲の環境に触れ、新たな遊びや活動を自発的に見つけられる設計となっています。
東三河の地域産材を積極的に活用した木造園舎
園舎には、東三河(愛知県東部)の地域産材を中心とした国産木材を積極的に使用しています。地域の木材資源を公共建築に活用するとともに、豊橋市を含む東三河地域の温暖な気候や身近な自然環境を園舎へ取り込むことで、地域の風土と調和した保育環境を生み出しました。外観には、高さを抑えながら連続する切妻屋根を採用。周辺の住宅地や街並みに調和しつつ、地域に新たな景観を生み出す建築となっています。
全国114組の学生から寄せられた建築アイデア
「とよはし公共建築学生チャレンジコンペティション」には、全国114組の学生から建築アイデアが寄せられました。数多くの提案を段階的に選考し、選ばれたアイデアを実際の公共建築へと発展させていったことに加え、提案者である学生がその後の企画・設計にも参加した点が今回の全建賞で高く評価されました。
行政や設計者だけで公共施設をつくる従来型のプロセスとは異なり、次世代を担う学生のアイデアを実際のまちづくりに取り入れることで、人材育成と公共建築整備を結び付けた取り組みとなっています。
「全建賞」で評価された3つのポイント
今回の受賞では、主に次のような点が評価されました。
- 全国の学生を対象とした建築コンペを実施し、採用された学生が公共建築の企画・設計段階へ主体的に参画したこと
- 東三河地域の地域産材を中心とする国産木材を活用し、地域の風土と調和した木造園舎を実現したこと
- 中庭や「さんぽミチ」など、子どもたちの自発的な活動を促す多彩な保育空間を実現したこと
建物そのものの設計だけではなく、公共建築を完成させるまでのプロセスを含めて高い評価を受けたことが、今回の受賞の大きな特徴です。
豊橋市はこれまでにも複数の事業で「全建賞」を受賞
豊橋市が手がけた公共施設やインフラ関連事業は、これまでにも全建賞を受賞しています。
主な受賞事業は次の通りです。
| 昭和57年度 豊橋市身体障害者総合福祉会館建設事業 |
| 平成15年度 豊橋市総合福祉センター「あいトピア」建設事業 |
| 平成19年度 豊橋市資源化センター余熱利用施設整備・運営事業 |
| 平成20年度 こども未来館整備事業 |
| 平成21年度 豊橋市保健所・保健センター及びこども発達センター等整備事業 |
| 平成29年度 豊橋市バイオマス資源利活用施設整備・運営事業 |
| 令和元年度 道の駅「とよはし」整備事業 |
そして2025(令和7)年度、新たに「つつじが丘保育園整備事業」が受賞事業として加わりました。
学生・地域・行政が連携して生まれた新しい公共建築
つつじが丘保育園は、子どもたちが日々を過ごす保育施設としての機能だけでなく、学生の柔軟な発想、保育現場の意見、地域の自然や木材資源などを一つの建築へと結び付けた公共施設です。学生コンペで生まれたアイデアを実際の公共建築として形にし、さらに提案した学生自身が設計プロセスへ関わるという取り組みは、今後の公共施設整備や次世代の建築人材育成を考える上でも注目される事例となりそうです。
記事要約(Summary)
豊橋市の「つつじが丘保育園整備事業(とよはし公共建築学生チャレンジコンペティション)」が、2025年度「全建賞」の建築部門を受賞しました。全国114組の学生から寄せられた建築アイデアをもとに、提案した学生が企画・設計段階にも主体的に参画。完成した木造園舎は「風土の中のさんぽミチ」をコンセプトに、中庭を囲む半屋外の縁側空間や、東三河の地域産材を活用した設計を採用しています。学生が実際の公共建築づくりに参加する画期的な事業プロセスに加え、地域資源の活用や子どもたちの自発的な活動を促す保育空間などが評価され、全国268事業の応募の中から全建賞に選ばれました。
■プレスリリース配信元-豊橋市























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