国内初の5,400冷凍トン製品化により、環境配慮と高効率運転を両立
低GWP冷媒採用のターボ冷凍機が高評価
三菱重工グループの三菱重工サーマルシステムズ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:伊藤 喜啓、以下、三菱重工サーマルシステムズ)は、自社のターボ冷凍機「JHT-Y/JHT-YIシリーズ」が、公益社団法人日本冷凍空調学会主催の「第52回(2024年度)日本冷凍空調学会賞」において「技術賞」※1を受賞したことを発表しました。表彰式は2025年5月15日、東京都内で執り行われました。
本受賞は、環境負荷の極めて低い低GWP※2冷媒「HFO-1234yf」を採用した大容量ターボ冷凍機の開発が高く評価されたものです。
「JHT-Y/JHT-YIシリーズ」の特長と革新性
2022年6月に販売を開始した本シリーズは、固定速機(JHT-Y)およびインバータ機(JHT-YI)をラインアップし、300~5,400冷凍トン※4の広範な容量に対応。特に、大規模データセンターで求められる2,500~3,000冷凍トンのゾーンをカバーしています。
高効率な新設計の圧縮機を搭載し、定格COP※5は最大6.4、IPLV※6は8.8、部分負荷での最高COPは24.9を達成。さらに圧縮機の小型化と構造の工夫により、省スペース設計も実現しています。従来機からのスムーズな置き換えも可能です。
用途も空調のみならず、暖房や飲料工場での低温加熱など、多岐にわたるニーズに応えています。加えて、旧製品(高GWP冷媒採用機)からの更新では、電力消費量およびCO₂排出量を年間約65%※7削減可能とされ、環境面でも大きな利点があります。
環境対応冷媒「HFO-1234yf」の優位性
HFO-1234yfは、カーエアコンや自動販売機にも採用されている次世代冷媒で、GWPが1未満、ODP※8はゼロ。日本国内では「ノンフロン」扱いであり、フロン排出抑制法※9の規制対象外です。
一方で、従来広く使用されていた高GWP冷媒(例:HFC-134a)は、地球温暖化への影響が大きく、2025年以降のさらなる規制強化も予定されています。そのため、低GWP冷媒製品への早期移行が社会的に求められています。
国内トップシェア、全容量帯を網羅
三菱重工サーマルシステムズは、工場空調や地域冷暖房向けに多数のターボ冷凍機を供給しており、国内でのシェアはトップクラス。
本受賞は、2002年度の「高効率ターボ冷凍機NARTシリーズ」、2015年度の「GART/GART-Ⅰシリーズ」に続き、3度目の受賞。さらにJHT-Y/JHT-YIシリーズは、2024年度「気候変動アクション環境大臣表彰」※3にも選定されるなど、環境技術の面でも高い評価を受けています。
同社のターボ冷凍機は、150~5,400冷凍トンの容量帯を網羅しており、同じく低GWP冷媒を使用した小・中容量クラスの「ETI-Zシリーズ」と合わせて、あらゆる施設規模への対応が可能です。
今後も同社は、低GWP冷媒の導入促進と高性能な製品開発を通じて、グローバル規模での環境保全に貢献していきます。
用語・注釈
※1:1973年から1979年までは「日本冷凍協会賞」、1980年以降は「学術賞」として分離。
※2:GWP(Global Warming Potential:地球温暖化係数)。CO₂を1とした場合の相対的な温暖化効果の値。小さいほど環境負荷が少ない。
※3:「令和6年度気候変動アクション環境大臣表彰」の詳細:
https://www.mhi.com/jp/news/241203.html
※4:1冷凍トン=約3.516kW。2,700冷凍トン以上はパラレル(圧縮機2台)構成。
※5:COP(Coefficient Of Performance:成績係数)。数値が大きいほど省エネ性が高い。
※6:IPLV(Integrated Part Load Value):空調機器の部分負荷運転時の効率指標。
※7:同社20年前の従来製品と比較した年間値。
※8:ODP(Ozone Depletion Potential:オゾン層破壊係数)。CFC-11を1.0とした場合の相対値。
※9:2015年4月1日施行の「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」に基づく。
会社情報
三菱重工業株式会社
ウェブサイト:https://www.mhi.com/jp/
オンラインマガジン「SPECTRA」(日本語):https://spectra.mhi.com/jp
公式X(旧Twitter):@MHI_GroupJP
公式Instagram:@mhi_groupjp
記事要約(Summary)
- 三菱重工サーマルシステムズが、低GWP冷媒を採用したターボ冷凍機「JHT-Y/JHT-YIシリーズ」で日本冷凍空調学会の技術賞を受賞
- 環境負荷の低減、高効率、省スペース設計を実現し、大規模データセンターなど多用途に対応
- 国内初の5,400冷凍トンまでの製品化、旧製品からの置き換えで年間65%の電力・CO₂削減
- 環境省「気候変動アクション環境大臣表彰」にも選定された高評価製品
- 今後も低GWP冷媒製品の開発を通じ、地球環境保全へ寄与していく方針
■プレスリリース配信元-三菱重工業株式会社
https://companydata.tsujigawa.com/company/8010401050387/
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