約2,000kW・8,000kWhの系統用蓄電池で電力系統の混雑緩和を検証
再生可能エネルギーやデータセンターの早期接続、送配電設備の投資合理化を目指す
株式会社パワーエックス(本社:岡山県玉野市、取締役兼代表執行役社長CEO:伊藤正裕)と関西電力送配電株式会社(代表取締役社長:白銀隆之)は、蓄電池を活用した新たな系統接続・設備形成手法の実現に向け、実証に関する検討を進めるための基本合意書を締結しました。今回の取り組みは、蓄電池の充放電によって電力系統の混雑を緩和し、既存の送配電設備を有効活用することを目的としています。
従来は送配電設備の増強が必要だったケースにおいて、蓄電池を活用することで、新たな電力需要や再生可能エネルギー電源の早期接続と、設備投資の合理化を両立できる可能性があります。両社は2027年度の実証開始を目指し、大阪北部エリアの変電所で系統用蓄電池を活用した運用方法の検証を進める計画です。
電力需要の増加と再生可能エネルギーの普及が系統接続の課題に
近年、データセンターの新設や電化の進展、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入拡大により、電力系統への新たな接続ニーズが高まっています。一方、既存の送配電設備には電力を流せる容量の上限があり、新たな需要や発電設備を接続する際に、設備容量が不足する場合があります。こうしたケースでは、変圧器の増設や送配電設備の増強工事が必要になることがあり、接続までに長期間を要する点が課題となっています。
特に配電用変電所の変圧器増設には、一般的に1台あたり1億円から数億円程度の費用がかかり、設計から竣工まで2〜3年以上を要するとされています。こうした背景から、パワーエックスと関西電力送配電は、従来の設備増強だけに依存しない新たな選択肢として、蓄電池を活用した電力系統の効率的な運用方法を検討します。
蓄電池の充放電で電力系統の混雑を緩和する新たな仕組み

今回検討するのは、蓄電池事業者が所有・運営する蓄電池を、一般送配電事業者との契約に基づいて系統接続や設備形成に活用する仕組みです。送配電設備を流れる電力が容量の上限に近づく時間帯に、あらかじめ定めた条件に従って蓄電池を充放電し、設備にかかる負荷を調整します。例えば、設備容量を100とする送配電設備に対して、既存の電力需要が100、新たな需要が20加わる場合、合計需要は120となり、設備容量を超えてしまいます。通常は設備増強が必要となる可能性がありますが、新たな仕組みでは、需要が増加する時間帯に蓄電池から20を放電することで、送配電設備を流れる電力を100に抑えることを想定しています。
これにより、既存設備の容量を超えることなく新たな電力需要に対応し、設備増強の回避や実施時期の繰り延べにつなげられる可能性があります。ただし、実際の運用では蓄電池の残容量や充電時間、系統の状況などを考慮する必要があり、具体的な充放電条件や契約内容については今後検討されます。
2027年度に大阪北部エリアで実証開始を予定
両社は基本合意に基づき、2027年度の実証開始を目指して具体的な検討を進めます。実証では、大阪北部エリアにある関西電力送配電の変電所構内に、パワーエックスが所有・運営する系統用蓄電池を設置する計画です。想定する蓄電池の出力は約2,000kW、蓄電容量は約8,000kWhです。
8,000kWhは、一般家庭約920世帯の1日分の電力使用量に相当する規模です。これは一般家庭の月間電力使用量を260kWhと仮定した換算値であり、実際に供給できる電力量や時間は運用条件によって異なります。
実証計画の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施企業 | パワーエックス、関西電力送配電 |
| 実証開始時期 | 2027年度(予定) |
| 実証予定エリア | 大阪北部エリア |
| 設置場所 | 関西電力送配電の変電所構内 |
| 蓄電池出力 | 約2,000kW(想定) |
| 蓄電容量 | 約8,000kWh(想定) |
| 主な検証内容 | 蓄電池の充放電による系統混雑の緩和 |
| 期待される効果 | 新規系統接続の早期化、設備増強の回避・繰り延べ、設備投資の合理化 |
なお、具体的な実証場所や設備仕様、実証期間などの詳細は、今後の検討を通じて決定する予定です。
蓄電池の運用確実性や電力市場との両立を検証
今回の実証では、単に蓄電池を変電所に設置するだけでなく、実際の電力系統で求められる条件に対応できるかを検証します。主な検討内容は、系統混雑を緩和するための充放電条件や運用方法、一般送配電事業者と蓄電池事業者の契約条件、制御・通信システムの要件などです。特に重要となるのは、指定された時間帯に必要な電力量を確実に充放電できるかという点です。また、系統混雑の緩和が必要な時間帯以外には、電力市場での取引や需給調整など、従来の蓄電池事業との両立も検討します。
パワーエックスは、蓄電システム(BESS)の開発・製造から運用・制御までを一貫して手がけており、メーカーとしての技術と運用ノウハウを活用して実証に取り組みます。
ハードウェアと制御システムの両面から蓄電池の運用確実性を確認し、送配電設備の増強に代わる手法として適用できるかを評価する方針です。
設備投資の合理化と再生可能エネルギーの導入拡大に期待
今回の取り組みにより、送配電設備の増強工事を回避または繰り延べできるようになれば、設備投資の合理化や新たな電力需要への迅速な対応が期待されます。また、再生可能エネルギーの発電設備を系統に接続する際の制約を緩和することで、再エネ導入拡大を後押しする可能性もあります。蓄電池はこれまで、電力市場における取引や電力需給の調整を中心に活用されてきました。今回の取り組みでは、蓄電池が持つ充放電機能を、特定の場所や時間帯における送配電設備の混雑緩和に直接活用することを目指しています。
パワーエックスは、今回の実証で得られる知見を他の蓄電池事業者とも共有できる基盤と位置づけ、将来的には関西エリア以外の電力エリアにも同様の活用モデルを広げていく考えです。
こうした仕組みが実用化されれば、既存の電力インフラをより効率的に活用しながら、新たな需要や電源を柔軟に受け入れられる電力システムの形成につながることが期待されます。
株式会社パワーエックスについて
株式会社パワーエックスは、岡山県玉野市に本社を置き、蓄電システムの開発・製造や電力市場での運用・制御などを手がける企業です。今回の関西電力送配電との取り組みでは、自社が所有・運営する系統用蓄電池を活用し、電力系統の混雑緩和に向けた新たなビジネスモデルの確立を目指します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社パワーエックス(PowerX, Inc.) |
| 代表者 | 伊藤 正裕 |
| 本社所在地 | 岡山県玉野市田井6-9-1 |
| 上場市場 | 東京証券取引所グロース市場 |
| 事業分野 | 蓄電システムの開発・製造、運用・制御など |
| 公式サイト | https://power-x.jp/ |
記事要約(Summary)
パワーエックスと関西電力送配電は、蓄電池を活用した新たな系統接続・設備形成手法の実現に向けて基本合意書を締結しました。2027年度には、大阪北部エリアの変電所で約2,000kW・8,000kWhの系統用蓄電池を用いた実証を開始する予定です。今回の実証では、蓄電池の充放電によって電力系統の混雑を緩和し、設備増強の回避・繰り延べや、新たな需要・電源の早期接続につなげられるかを検証します。
データセンターの増加や再生可能エネルギーの普及によって電力インフラの重要性が高まるなか、蓄電池を送配電設備の代替・補完手段として活用する新たなモデルが実用化されるか、今後の実証結果に注目が集まります。
■企業ニュース対象-株式会社パワーエックス
























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