一般投票で世界1位に選出!
80カ国から最も支持された“体験する建築”
佐賀県武雄市の温泉保養地ONDPARKに位置するサウナ施設「OND SAUNA(オンドサウナ)」が、世界的建築アワード「Architizer A+Awards 2025」(第13回)において、Spa & Wellness部門のPopular Choice Winner(一般投票 世界第1位)を受賞しました。
本賞は、建築専門家による審査で選出されたファイナリストの中から、世界80カ国以上の一般ユーザーによるオンライン投票によって最も支持された作品に贈られるものです。本施設の設計を担当したのは、東京都世田谷区に拠点を構える合同会社あまね設計(代表:下川太郎)。「森と人、人と人との“ちょうどいい距離感”を設計する」という哲学をもとに、日本的な感性と国際水準の空間表現を融合させたサウナ建築が、世界中の支持を集めました。
設計コンセプト:自然と共鳴するサウナ空間の創造

OND SAUNAの建築は、佐賀・武雄の大自然と調和した「開かれた空間」が特徴。サウナに求められる“心身の解放”と“親密な社交性”を両立させるため、以下の設計要素が組み込まれています。
木のサウナ「成長」:森のリズムを外壁で表現

寿命のない木の“成長”を、垂直性を強調した外壁群で表現。森林に呼応するようにランダムに配置された壁が、利用者に自然との一体感を与えます。サウナ→水風呂→外気浴という体験動線は、地上2.5m〜3.25mの高低差を利用した立体的な空間構成により、森の高さと同じ目線での「屋上外気浴」へと誘います。
付かず離れずの壁:日本的距離感の再定義

「見知らぬ人と裸で隣り合う」というサウナ特有の親密性に対し、押しつけがましくない共体験空間=ソシオペタル空間を実現。垂直の壁を“森”のように離散配置することで、視線や音、気配を程よく遮りながらも繋がるという、現代日本人の精神性に調和した空間を作り出しています。

多角形の平面とベンチ配置:自然な会話と静けさの両立

内部は不整形の多角形平面を採用。視線のコントロールと適度な会話の誘発を目的に、ベンチは鈍角に配置。これにより、火を囲むような人間本来の“集い”を感じさせる空間体験が可能になりました。
CLT構造による新たな公共建築モデル

構造形式には、環境負荷の少ないCLT(Cross Laminated Timber)構造材を採用。壁や床のパネルは合理的な寸法モジュールに基づいて構成され、現場施工の効率化にも貢献しています。CLTが持つ断熱性や木質感により、空間全体が温かみと機能性を両立した仕様になっています。
OND SAUNAの他の建物群

● 更衣棟:伝統建築に学ぶ「結界」
サウナゾーンと他エリアを明確に分けるため、日本建築の「長屋門」形式を応用した更衣棟を設計。杉板の下見板張りやCLT屋根など、日本建築の技術と素材を現代に再構築しています。
● 金のサウナ「秩序」
ガラス張りの外観により風景に溶け込み、内部は鉄骨フレームで構成。「自然を一歩引いて捉える秩序感」を建築で表現。森を少し離れた“他者”として意識することで、安心感と深い没入体験を得る空間になっています。
Architizer A+Awardsとは
「Architizer A+Awards」は、建築専門メディアArchitizer(米国)が主催する、世界最大規模の建築アワード。2025年の第13回大会では、世界80カ国以上から数千点を超える作品が集まりました。評価は、建築家・評論家による選定と、一般ユーザーによるオンライン投票の2段階。受賞作は、世界的な建築書籍『The World’s Best Architecture』などを通じて国際的に発信されます。
公式サイト:https://winners.architizer.com/2025/Typology/hospitality-14/spa-and-wellness-1/ondsauna/
ONDPARK サウナ棟新築工事 プロジェクト概要

項目 | 内容 |
---|---|
プロジェクト名 | ONDPARK サウナ棟新築工事 |
主要用途 | サウナ(公衆浴場)、更衣棟(更衣室) |
建設予定地 | 佐賀県武雄市武雄町大字永島字池ノ上18293 他( 地番) |
事業主体 | 朝日I&R ホールディングス株式会社 |
プロデュース | 小林純/RE FACTORY |
設計 | 下川太郎・川野元揮/あまね設計 |
構造 | 黒岩裕樹・板井臨/黒岩構造設計事ム所 |
設備 | 山崎設備設計 |
ストーブ | 高橋憲三・高橋和雅/ケンズメタルワーク |
フードメニュー監修 | 山崎真人 |
ロゴ | MARUKAJIRI |
写真 | 川辺明伸/helico・宮本和義/fusion graphic |
HPデザイン | fusion graphic |
構造形式 | 木造在来工法(一部CLT 構造) |
建築面積 | 151.59 ㎡ |
延床面積 | 117.50 ㎡ |
工事期間 | 令和6 年3 月~ 8 月 |
受賞 | A’ Design Award & Competition 2025ブロンズ賞(イタリア) Architizer A+Awards 2025 Spa & Wellness部門Popular Choice Winner(アメリカ) |
「木のサウナ」詳細
項目 | 内容 |
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建築面積 | 34.52 ㎡ |
延床面積 | 30.51 ㎡ |
外部仕上げ:屋根 | ヒノキ板張りt30 +木材保護塗料、FRP 防水、フレキシブルボードt5、CLT 板t150、GW24K 200mm |
外部仕上げ:外壁 | 杉板貼りt15 OS、通気胴縁t15、透湿防水シート、構造用合板t9、GW t100 充填 |
内部仕上げ:床 | アバチ板張りt30 無塗装 |
内部仕上げ:壁 | ヒノキ板貼りt15 無塗装 |
「更衣棟」詳細
項目 | 内容 |
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建築面積 | 48.59 ㎡ |
延床面積 | 48.59 ㎡ |
外部仕上げ:屋根 | 瓦葺き、アスファルトルーフィング23K、CLT 板t120 |
外部仕上げ:外壁 | 杉板下見板貼りt15 OS、通気胴縁t15、透湿防水シート、構造用合板t9、GW t100 充填 |
内部仕上げ:床 | ビニル床シート張りt2.5 |
内部仕上げ:壁 | 針葉樹合板貼りt12 OF |
ONDPARKについて:自然と温度を感じる体験型滞在施設
ONDPARK(オンドパーク)は、「武雄の恵みで温度があがる」をテーマにした自然体験型施設。サウナ・宿泊・飲食・遊びのエリアが複合し、かつての温泉保養地を再活用。PARK-PFI制度に基づき、民間企業と自治体が連携した次世代型の公共空間を提供しています。
今後の展開:7月中旬より営業再開&限定体験も予定
OND SAUNAは、2025年6月24日から3週間の改修期間を経て、7月中旬に営業を再開予定。今回の受賞を記念した限定体験や空間演出のアップデートも検討中です。
記事要約(Summary)
- Architizer A+Awards 2025で世界1位(一般投票)を獲得
- 森と共鳴する建築設計で“共体験の空間”を実現
- CLT構造、伝統と現代を融合した建築群も話題
- 自然・建築・公共空間をつなぐ「ONDPARK」の中核施設として、地域の魅力を世界へ発信
【本件に関するお問い合わせ】
設計:合同会社あまね設計(担当:下川)[email protected]
ONDPARK運営:朝日I&Rホールディングス株式会社 広報:080-8703-3513(佐藤)[email protected]
■プレスリリース配信元-合同会社あまね設計
https://companydata.tsujigawa.com/company/5011803002012/
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