ガザ地区の壊滅的状況
医療システム崩壊、持続的停戦と人道援助が不可欠
2023年10月の紛争激化から1年
2023年10月7日に始まったイスラエルとハマスの紛争が、1年を迎えようとしています。この紛争は現在も続いており、ガザ地区の医療システムは崩壊状態にあります。人道的な状況は壊滅的であり、国際的な支援団体や人権活動家は、持続的な停戦の必要性を強調しています。イスラエルとハマスの間での停戦交渉が進展していないため、紛争は拡大し、ガザを中心とした地域全体が危機的状況にあります。
死者4万人以上、負傷者10万人に迫る
2023年10月7日にハマスがイスラエルに対する攻撃を開始し、1200人以上の犠牲者が出たことを皮切りに、イスラエル軍によるガザ地区への大規模な反撃が続いています。これまでに4万1500人以上が死亡し、9万6000人以上が負傷しています。多くの住民が避難を余儀なくされる一方、避難場所自体も安全ではなく、さらなる攻撃が避難者を襲う状況が続いています。
医療機関の崩壊
医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」によると、ガザ地区の医療インフラは深刻な損壊状態にあり、36の病院のうち機能しているのはわずか17カ所に過ぎません。人口密集地域への空爆により、重傷者や大やけどを負った患者が急増していますが、医療施設には必要な医薬品や機材が届かず、医療スタッフは限られたリソースで治療を行わざるを得ない状況にあります。
MSFの医療オペレーション・マネジャー、アンバー・アリヤン医師は「麻酔もないまま手術を行わなければならないことが多々あります。戦闘によって医療施設が破壊され、子どもたちが目の前で亡くなる姿も目撃しました」と語ります。
人道物資の不足と医療ニーズの拡大
医療システムの崩壊に加えて、ガザ地区では人道物資の供給も深刻な問題となっています。イスラエル当局による物資の搬入許可は不透明で、予測が難しい状況が続いています。また、物資がガザ地区に届いても、安全なルートが確保されていないため、戦闘や略奪によって多くが目的地にたどり着かない事例が報告されています。
避難者の増加と病気のリスク
繰り返される空爆や戦闘により、ガザ地区の住民の90%以上が避難を余儀なくされました。しかし、避難先でも空爆が続き、安全とされる場所は限られています。また、過密な避難生活により、感染症のリスクも高まっています。現在、1万2000人以上の人々が医療搬送を必要としており、安全な地域への避難と適切な医療が早急に求められています。
国際社会と同盟国の役割
国境なき医師団インターナショナル事務局長のクリストファー・ロックイヤー氏は、「イスラエルの同盟国は政治的な忠誠心を優先して、イスラエルへの軍事支援を続けている」と批判しています。彼はさらに、「国際社会がこの状況を止める唯一の方法は、即時かつ持続的な停戦である」と強調しています。
MSFの要請
1年間にわたる紛争で、ガザ地区の人々は深刻な危機に直面しています。MSFは以下の対応を国際社会に強く求めています。
- 即時かつ持続的な停戦の実施
- 民間人への攻撃停止
- 医療インフラの破壊を止めること
- ガザの封鎖を解除し、人道支援を円滑に行える環境を作ること
- ラファ検問所の再開と、医療を必要とする人々の搬送および安全な避難の保証
この紛争の早急な解決が求められる中、国際社会とイスラエルの同盟国は、政治的利益よりも人命を最優先に考える必要があります。持続的な停戦とガザへの援助拡大が、ガザ地区の人々の生命と尊厳を守るために不可欠です。
■プレスリリース配信元-特定非営利活動法人国境なき医師団日本
https://companydata.tsujigawa.com/company/6011105001496/
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