「届ける医療」を実践する医療MaaS車両が岐阜県郡上市に誕生。
行政・医療・産業が連携し、地域医療の新時代を切り拓く
2026年3月27日(金)、岐阜県郡上市役所防災センターにて、医療MaaS車両「MedaaS(メディアース)」の納車式典が執り行われました。本車両は、深刻な医師・看護師不足や高齢化、山間地域における医療アクセスの課題を抱える郡上市において、患者のもとへ医療を届ける「動く診察室」として導入されたものです。
今後は、国保白鳥病院を拠点に本格運用され、平時の移動診療・在宅医療支援はもちろん、災害時には独立型の医療拠点としても機能することが期待されています。式典には、郡上市長をはじめ、行政・医療・学術・産業界など各分野の関係者が出席し、地域医療の未来を支える新たな取り組みの門出を祝いました。
納車式典の概要

今回の納車式典は、郡上市における医療MaaS導入の節目として開催され、関係各所が一堂に会する重要な機会となりました。式典には、郡上市長・山川弘保氏、岐阜県健康福祉部次長・後藤勝氏、郡上市議会副議長・田中義久氏、国保白鳥病院長・廣瀬英生氏らが出席。さらに、医療MaaSの実装に関わった産業・医療・研究分野の関係者も参加しました。
また、経済産業大臣・赤澤亮正氏、岐阜県知事・江崎禎英氏からも祝辞が寄せられ、地域医療の新たな取り組みに対する期待の大きさがうかがえる式典となりました。
式典の内容

式典は、郡上市長 山川弘保氏の挨拶により開幕。郡上市が抱える医療課題と、その解決に向けた医療MaaS導入の意義について語られました。続いて、岐阜県健康福祉部次長・後藤勝氏より来賓祝辞が述べられ、地域医療の持続可能性を支える新たなインフラとしての期待が示されました。さらに、郡上市議会副議長・田中義久氏による祝辞、国保白鳥病院長・廣瀬英生氏による挨拶が行われ、現場の視点から見た導入意義や今後の運用への展望が共有されました。

その後、経済産業大臣・赤澤亮正氏および岐阜県知事・江崎禎英氏からの祝辞が披露されました。なお、赤澤大臣の祝辞は、名古屋大学救急科講師・内閣府防災庁設立準備アドバイザリーの山本尚範氏により代読されました。最後は、郡上市副市長・乾松幸氏の閉会挨拶で締めくくられ、式典終了後には、医療MaaS車両「MedaaS」の展示・試乗も実施されました。
郡上市が抱える地域医療の課題とは
山間地域ならではの医療アクセス問題
郡上市は、岐阜県中部に位置する広大な山間地域で、岐阜県内最大の総面積を有する一方、人口は約3万8千人とされ、過疎化と高齢化が進んでいます。
特に冬季には豪雪となる地域も多く、集落によっては病院までの移動に長時間を要するケースも少なくありません。こうした地理的条件は、住民にとって医療機関へのアクセスを難しくし、医療提供体制の維持を困難にしてきました。
課題1:深刻な医師・看護師不足
山間地域では、都市部と比較して医療従事者の確保が難しいという構造的課題があります。郡上市でも、医師や看護師の慢性的な不足が続いており、特に訪問診療を担う人材の不足が大きな課題となっていました。
医師一人あたりが担当する範囲が広くなればなるほど、移動時間や業務負担が増え、医療提供の継続性にも影響が生じます。こうした背景から、従来型の医療提供だけでは対応しきれない現実が浮き彫りとなっていました。
課題2:在宅医療ニーズの急増
高齢化が進む地域では、通院そのものが難しい住民が増えています。特に、免許返納後の高齢者や、冬季の積雪により移動が制限される住民にとって、医療機関へ足を運ぶことは大きな負担です。
その結果、必要な医療を受けられずに病状が悪化するケースもあり、地域では「医療を患者のもとへ届ける仕組み」の必要性が高まっていました。
解決策としての医療MaaS車両「MedaaS」

こうした地域課題に対する新たな解決策として導入されたのが、医療MaaS車両「MedaaS」です。「MedaaS」は、国保白鳥病院を拠点に、医療機器や看護師を乗せて患者のもとへ直接向かう移動診療車両であり、単なる送迎車ではなく、車内で診察・処置・オンライン診療まで完結できる医療空間として設計されています。
つまり、患者が病院へ行くのではなく、病院の機能そのものが地域へ向かうという、新しい地域医療モデルです。
医療MaaS車両「MedaaS」の主な特徴

1. 「診察」「処置」「オンライン診療」に対応するマルチレイアウト
「MedaaS」は、車内レイアウトを用途に応じて柔軟に切り替えられるマルチレイアウトシステムを採用しています。シートの折りたたみや回転機構により、以下のような運用が可能です。
- 診察モード
- ベッドモード
- オンライン診療モード
- 処置対応モード
これにより、訪問先や患者の状態に応じた柔軟な医療提供が可能になります。
2. 電源の二刀流で災害時にも対応
「MedaaS」は、走行充電とソーラーパネルの両方を備えた電源システムを採用しています。これにより、移動中の発電に加えて、停車時にも安定した電力供給が可能となり、医療機器の稼働を支えます。平時の訪問診療だけでなく、停電やインフラ寸断が発生した災害時においても、自立型の医療拠点としての役割を果たせる仕様です。
3. 郡上の厳冬にも対応する超断熱仕様
郡上市のような寒冷・豪雪地域では、車内環境の快適性と安全性も極めて重要です。本車両には、キャンピングカー製造大手・トイファクトリーのノウハウが活用されており、厳しい冬の寒さにも対応できる超断熱仕様が採用されています。これにより、患者・医療従事者の双方にとって、安心して利用できる診療空間が実現されています。
4. 山間部や雪道に強い4WDディーゼルを採用
ベース車両には、トヨタ ハイエース(標準ナローハイルーフ・4WDディーゼル)を採用。雪道や山間路においても高い走破性を発揮し、郡上市のような地理条件でも安定した運用を支えます。また、コンパクトで取り回しがしやすく、看護師でも運転しやすいサイズ感でありながら、6人乗りの広い室内空間を確保している点も大きな特徴です。
5. 平時と有事をつなぐ「フェーズフリー設計」
「MedaaS」の大きな価値のひとつが、フェーズフリー設計です。これは、平時には地域を巡回する移動診療車両として活躍し、災害時にはそのまま医療支援拠点へと役割を切り替えられる設計思想です。
少子高齢化、災害激甚化、医療資源の偏在といった日本の課題に対し、日常と非常時を分断せず、ひとつのモビリティで対応する仕組みは、今後の地域医療・防災の在り方に大きな示唆を与えるものといえます。
祝辞から見える「MedaaS」への期待
今回の納車式典では、関係者から本取り組みに対する高い期待が寄せられました。
経済産業大臣・赤澤亮正氏の祝辞
岐阜県郡上市ならびに国保白鳥病院における「医療MaaS車両」の納車式典が、かくも盛大に挙行されますことを、心よりお慶び申し上げます。名古屋大学の山本尚範先生、株式会社M-aidの木下水信様をはじめ、本プロジェクトの社会実装に向けて並々ならぬ情熱を注いでこられた関係者の皆様に、深く敬意を表します。昨年3月の日本災害医学会、また8月の「医療モビリティ博 in 愛知」においても皆様の画期的な構想に触れさせていただきましたが、本日こうして確かな形として結実したことを、私自身、大変嬉しく思っております。
現在、地方部では高齢化や医療機関の集約化により、地域医療の維持が急務となっております。郡上市および国保白鳥病院の皆様が、平時において質の高い医療を住民に直接届ける「動く診察室」として医療MaaSの導入を決断されたことは、地域医療の未来を切り拓く極めて重要な一歩です。同時に、この取り組みは有事における我が国の危機管理体制においても、計り知れない価値を持ちます。現在、政府を挙げて「防災庁」の創設をはじめとする災害対応力の抜本的な強化を進めておりますが、激甚化する自然災害や未知の公衆衛生危機において、国民の命を守り抜くためには、機動的かつ独立して機能する医療拠点が不可欠です。平時から地域を走り、災害時には即座に最前線の医療支援拠点へと移行するこのフェーズフリーな医療MaaSは、まさにこれからの「防災産業」を力強く牽引するモデルケースであります。
さらに、こうした高度な医療モビリティを社会実装し、医療という最も重要なサービスの提供を途絶えさせない体制を作ることは、国家安全保障、そして経済安全保障の観点からも極めて重要です。有事においても揺るがない強靭なサプライチェーンの構築に向け、皆様の取り組みが大きな原動力となることを確信しております。経済産業省といたしましても、国民の命と暮らしを守り、新たな産業を創出する皆様の果敢な挑戦を、引き続きしっかりと後押ししてまいります。
結びに、本事業が大いなる成果を上げ、全国へと波及していくことを強く期待するとともに、郡上市ならびに関係各位のますますのご健勝とご多幸を祈念いたしまして、私からのお祝いの言葉とさせていただきます。
2026年3月27日 経済産業大臣 赤澤 亮正 様
このことは、「MedaaS」が単なる医療車両ではなく、医療・防災・産業を横断する次世代インフラとして期待されていることを示しています。
岐阜県知事・江崎禎英氏の祝辞
医療MaaS納車式のご盛会を心からお慶び申し上げます。貴市におかれましては、日頃より地域医療の推進に対し、格別のご尽力を賜り、厚く御礼申し上げます。医療MaaSの導入が住民サービスの更なる向上に寄与し、貴市の益々のご発展へと繋がりますことを祈念申し上げます。
2026年3月27日 岐阜県知事 江崎 禎英
医療・産業・学術が連携したプロジェクト
今回の「MedaaS」導入は、単独の組織によるものではなく、行政・医療・産業・学術の連携によって実現した点にも大きな特徴があります。このような複合的な連携体制は、地域医療の持続可能性を高めるだけでなく、全国展開可能なモデルケースとしての再現性を持つ重要な要素です。
株式会社M-aidについて

株式会社M-aid(代表取締役:木下水信)は、医療MaaSのプロデュースを専門とする企業です。これまでに、数々の医療MaaSコンセプトカーの開発や実証実験を積み重ね、「医療と移動の融合」に関する豊富な知見を蓄積してきました。今回、郡上市に導入された「MedaaS」は、そうした知見を結集した一台であり、以下のような幅広い医療シーンに対応することを想定しています。
| ・診察 |
| ・処置 |
| ・オンライン診療 |
| ・在宅医療支援 |
| ・災害医療支援 |
また、車両製作には、キャンピングカー製造No.1メーカーであるトイファクトリーのノウハウを活用。さらに、名古屋大学救急科講師・内閣府防災庁設立準備アドバイザリーの山本尚範氏の危機管理・防災に関する知見も加わり、医療・防災・モビリティを融合させた高機能な一台へと仕上がっています。
M-aidは今後、この郡上市での取り組みを全国へ波及させるモデルケースとして位置づけ、地域医療の課題解決に向けた取り組みをさらに推進していく方針です。
今後の展望
郡上市発、地域医療の新モデルを全国へ
郡上市における医療MaaS車両「MedaaS」の導入は、単なる一地域の新サービスではなく、全国の中山間地域・過疎地域・高齢化地域が抱える医療課題へのひとつの答えとなる可能性を秘めています。今後、少子高齢化や医療資源の偏在がさらに進む中で、「医療を待つのではなく、医療が来る」という発想は、地域住民の安心を支える新しい社会インフラとして重要性を増していくでしょう。
また、災害時にも即応できる医療拠点として機能する点は、地域防災・危機管理の観点からも極めて意義深く、平時と有事をつなぐ新しい地域医療モデルとして全国的な広がりが期待されます。
お問い合わせ先
株式会社M-aid
TEL:052-551-6662
E-mail:[email protected]
記事要約(Summary)
・2026年3月27日、岐阜県郡上市で医療MaaS車両「MedaaS」の納車式典を開催
・国保白鳥病院を拠点に、“動く診察室”として本格運用を開始
・山間地域・高齢化・医師不足・通院困難といった地域医療課題の解決を目指す
・診察・処置・オンライン診療・災害医療支援に対応する多機能車両
・トヨタ ハイエース4WDディーゼルをベースに、超断熱・ソーラー電源・フェーズフリー設計を採用
・行政・医療・産業・学術が連携して実現した、全国展開も視野に入る先進事例
・郡上市発の医療MaaSモデルとして、地域医療の新時代を切り拓く取り組みとして注目
■プレスリリース配信元-株式会社M-aid
https://companydata.tsujigawa.com/company/1180001119077/























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