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ニデック株式会社|内部統制報告書-第53期(2025/04/01-2026/03/31)|EDINET開示書類
- 提出企業
- ニデック株式会社
- 書類名
- 内部統制報告書-第53期(2025/04/01-2026/03/31)
- 提出日時
- 2026-09-30 15:53:00
- EDINET書類ID
S100Z5EA
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開示書類本文
【表紙】 | |
【提出書類】 | 内部統制報告書 |
【根拠条文】 | 金融商品取引法第24条の4の4第1項 |
【提出先】 | 関東財務局長 |
【提出日】 | 2026年9月30日 |
【会社名】 | ニデック株式会社 |
【英訳名】 | NIDEC CORPORATION |
【代表者の役職氏名】 | 代表取締役常務執行役員 南井 正之 |
【最高財務責任者の役職氏名】 | 執行役員(最高財務責任者代行) 中川 一夫 |
【本店の所在の場所】 | 京都市南区久世殿城町338番地 |
【縦覧に供する場所】 | 株式会社東京証券取引所 |
1 【財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項】
代表取締役常務執行役員(最高コンプライアンス責任者 兼 最高人事責任者)南井正之、社長執行役員(最高経営責任者 兼 最高技術責任者)戒田理夫及び執行役員(最高財務責任者代行)中川一夫は、当社の財務報告に係る内部統制の整備及び運用に責任を有しており、企業会計審議会の公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)」に示されている内部統制の基本的枠組みに準拠して財務報告に係る内部統制を整備及び運用しています。
なお、内部統制は、内部統制の各基本的要素が有機的に結びつき、一体となって機能することで、その目的を合理的な範囲で達成しようとするものです。このため、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性があります。
2 【評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項】
財務報告に係る内部統制の評価は、当連結会計年度の末日である2026年3月31日を基準日として行われており、評価に当たっては、一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠しました。
本評価においては、連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制(全社的な内部統制)の評価を行った上で、その結果を踏まえて、評価対象とする業務プロセスを選定しました。当該業務プロセスの評価においては、選定された業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を識別し、当該統制上の要点について整備及び運用状況を評価することによって、内部統制の有効性に関する評価を行いました。
財務報告に係る内部統制の評価の範囲は、当社並びに連結子会社及び持分法適用会社について、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性の観点から必要な範囲を決定しました。財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性は、財務報告に対する金額的及び質的影響並びにその発生可能性を考慮して決定しており、当社及び連結子会社を対象として行った全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲を合理的に決定しました。なお、金額的及び質的重要性の観点から僅少であると判断した連結子会社及び持分法適用関連会社については、全社的な内部統制の評価範囲に含めていません。
業務プロセスに係る内部統制の評価範囲については、単一の指標のみでなく関連する他の要素も考慮して決定することが適切であると考え、主に財務報告への金額的影響の観点から各事業拠点の前連結会計年度の売上高(連結会社間取引消去後)の相対的重要性を踏まえ、各事業拠点の前連結会計年度の総資産(連結会社間取引消去後)の金額的影響やその他の質的影響を考慮して「重要な事業拠点」を決定しました。結果として当連結会計年度の売上高(連結会社間取引消去後)に占める評価範囲の割合はおおむね3分の2となりました。
選定した重要な事業拠点においては、当社は製造業であり、製造及び販売が収益獲得活動であることから、企業の事業目的に大きく関わる勘定科目として売上高、売掛金及び棚卸資産に至る業務プロセスを評価の対象としました。さらに、選定した重要な事業拠点にかかわらず、それ以外の事業拠点をも含めた範囲について、重要な虚偽記載の発生可能性が高く、見積りや予測を伴う重要な勘定科目に係る業務プロセスやリスクが大きい取引を行っている事業又は業務に係る業務プロセスを財務報告への影響を勘案して重要性の高い業務プロセスとして評価対象に追加しました。具体的には、金額的及び質的重要性並びにその発生可能性を考慮して決定した勘定科目ごとのカバー率に達している事業拠点について、重要性の高い業務プロセス(経理決算プロセス、財務管理プロセス、購買プロセス、製造プロセス、固定資産管理プロセス、人事管理プロセス、試験研究プロセス等)を評価対象に個別に追加しました。
また、当連結会計年度において、当社及びグループ会社の経営陣の関与又は認識の下で、不適切な会計処理の疑義を認識したことを受け、当社の財務報告に係る内部統制は有効ではないという前提のもと、第三者委員会による調査及び第三者委員会の管理・監督の下で会計処理の適切性を調査する自己点検を実施しました。その結果、内部統制の評価範囲外であった事業拠点及び業務プロセスを含む当社グループの多岐にわたる拠点で多数の会計不正が判明したことから、財務報告の信頼性を確保するため、内部統制の評価範囲の見直しを行いました。具体的には、財務報告に重要な影響を及ぼす不備が生じていた可能性のある事業拠点の業務プロセスとして、棚卸資産の評価、固定資産の減損、引当金及び債権評価等に係る会計上の見積りプロセス、実地棚卸等に係る在庫管理プロセス、遊休資産管理や固定資産の付随費用の計上等に係る固定資産管理プロセス、開発費の資産化に係るプロセス、未出荷販売等に係る販売プロセス等を当連結会計年度の評価範囲に追加いたしました。
しかしながら、「3 評価結果に関する事項(コーポレート・ガバナンスに関する当社の是正状況について)」に記載のとおり、当社は、当社及びグループ会社において、不適切な会計処理等に関与した役職員の適切な人事的是正措置を決定するための評価及び人事的是正措置が行われているものの、その一部が完了しておらず、全社的な内部統制に重要かつ広範な影響を及ぼす可能性があり、当社及びグループ会社の全社的な内部統制に及ぼす影響を評価することができなかったことから、財務報告に係る内部統制の評価を完了することができませんでした。
3 【評価結果に関する事項】
当社は、2025年9月26日に提出した前連結会計年度の内部統制報告書において財務報告に係る内部統制に開示すべき重要な不備がある旨の開示を行っております。これについて前連結会計年度の内部統制報告書に記載した各再発防止策を実施してまいりましたが、下記のとおり、一部の開示すべき重要な不備が当連結会計年度においても是正されていない状況であること、また、当連結会計年度においても新たに財務報告に係る内部統制に開示すべき重要な不備を識別していることから、財務報告に係る内部統制の評価を実施した範囲において、当連結会計年度末日時点における当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断しました。
なお、下記(コーポレート・ガバナンスに関する当社の是正状況について)に記載のとおり、当社は、不適切な会計処理等に関与した役職員の適切な人事的是正措置を決定するための評価及び人事的是正措置が行われているものの、その一部が完了しておらず、全社的な内部統制に重要かつ広範な影響を及ぼす可能性があり、当社及びグループ会社の全社的な内部統制に及ぼす影響を評価することができなかったことから、当連結会計年度における財務報告に係る内部統制の評価結果を表明できないと判断しました。
記
当社は、当社及びグループ会社の一部の経営陣の関与又は認識の下で行われた資産性にリスクのある資産に関する評価減の時期の恣意的な調整等、連結財務諸表全体に重要な影響を及ぼす可能性のある不適切な会計処理の疑義を認識したため、2025年9月3日に日本弁護士連合会が定める「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」に準拠した第三者委員会の設置を決議し、第三者委員会から2026年2月27日に調査報告書、同年4月17日に調査報告書追補を受領しました。その結果、過年度を含め、当社グループの多岐にわたる拠点で多数の会計不正(以下、調査報告書及び調査報告書追補で明らかになった事実を「本事案」といいます。)が判明しました。判明した会計不正の主な内容は以下のとおりであり、その内容は多岐にわたっていました。
・将来の使用見込み及び販売見込みが極めて低く資産性がない原材料及び製品等について資産性が認められると偽ることによる棚卸資産評価損の計上回避
・固定資産の減損テストの前提となる売上計画の中に実現確度が低い案件を含めることによる減損損失の計上回避
・転用困難な固定資産についての虚偽の説明による減損損失の計上回避
・製品の開発中止に伴う契約損失引当金の未計上
・不良債権に係る貸倒引当金の未計上
・棚卸資産の実地棚卸結果を偽ることによる棚卸資産の過大計上
・固定資産に計上することが適切ではない人件費を付随費用として資産計上し減価償却を通じて費用化することによる費用計上時期の先延ばし
・将来の経済的便益の獲得に寄与しないと判断されていた品質改善費用や研究開発費用の意図的な資産計上
・未出荷販売としての実態を伴わない売上の先行計上
また、当社は前連結会計年度に、当社の連結子会社で家電・車載事業統括本部家電産業事業本部下のNIDEC FIR INTERNATIONAL S.R.L.(イタリア所在。以下、「FIR社」といいます。)に関する貿易取引上の問題を認識したことを受けて、FIR社以外における貿易コンプライアンス上の類似問題(以下、「貿易コンプライアンス問題」といいます。)の有無等について外部専門家に委嘱して調査を行ったところ、当社グループの対米輸出において原産地国表示の誤りが発見されました。
当社は、本事案に関する第三者委員会による調査及び第三者委員会の管理・監督の下で会計処理の適切性を調査する自己点検により判明した事実、貿易コンプライアンス問題に関する外部専門家による調査及び外部専門家の支援のもとで実施した社内調査により判明した事実とその原因分析に関する報告等を踏まえ、財務報告に係る内部統制の再評価を行った結果、当社及び連結子会社の全社的な内部統制(統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達及びモニタリング)と全社的な観点で評価することが適切な決算・財務報告プロセスに係る内部統制の不備を識別し、これらの不備は、当社の財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高いことから、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。また、全社的な内部統制(統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達及びモニタリング)と全社的な観点で評価することが適切な決算・財務報告プロセスに係る内部統制の不備の影響が重要かつ広範であることから、業務プロセスに係る内部統制が有効に機能する基盤を欠いていた状況であり、評価対象とした全ての業務プロセスについても不備を識別し、いずれも財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高いため、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。
なお、前連結会計年度に識別したFIR社の貿易取引上の問題に関する開示すべき重要な不備(当社の全社的な内部統制(情報と伝達)及び経理決算プロセスに係る内部統制)については、再発防止策を実施してはいるものの、当連結会計年度において新たに全社的な内部統制(統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達及びモニタリング)及び全社的な観点で評価することが適切な決算・財務報告プロセスに係る内部統制に開示すべき重要な不備を識別したことから、開示すべき重要な不備の是正には至っていないものと評価しております。前連結会計年度に識別した開示すべき重要な不備に対する再発防止策の実施状況は、「4付記事項」に記載しております。
下記「Ⅰ.開示すべき重要な不備の内容」に記載した本事案及び貿易コンプライアンス問題に関する不備は、2025年9月3日に設置を決議した本事案に関する第三者委員会による調査(2026年2月27日付調査報告書及び同年4月17日付調査報告書追補)、第三者委員会の管理・監督の下で会計処理の適切性を調査する自己点検、並びに貿易コンプライアンス問題に関する外部専門家による調査及び外部専門家の支援のもとで実施した社内調査により判明しました。
このため、これらの開示すべき重要な不備の一部は当連結会計年度末日までに判明していたものの、当該不備の判明から当連結会計年度末日までに是正するための時間的猶予がなかったこと、また一部は当連結会計年度末日後に判明したことから、当連結会計年度の末日までに是正することができませんでした。さらに、前連結会計年度に識別したFIR社の貿易取引上の問題に関する開示すべき重要な不備については、再発防止策を実施してはいるものの、当連結会計年度において新たに全社的な内部統制及び全社的な観点で評価することが適切な決算・財務報告プロセスに係る内部統制に開示すべき重要な不備を識別したことから、開示すべき重要な不備の是正には至っていないものと評価しております。これらの開示すべき重要な不備に起因する現時点で認識している必要な修正は、連結財務諸表に反映しております。
しかし、連結財務諸表注記(コーポレート・ガバナンスに関する当社の是正状況について)に記載のとおり、連結財務諸表注記43.追加情報(不適切な会計処理等について)「(1)第三者委員会による調査について」及び「(3)その他の社内調査等について」に記載している不適切な会計処理等に関与、指示、又は認識していた、あるいは会計監査人に対して虚偽の説明を行った役職員の一部を特定し、適切な人事的是正措置を決定するための評価及び人事的是正措置を進めているものの、その一部は完了しておらず、また、後任者についても財務報告に係る責任を引き継いだうえでその職責を適切に遂行していることが十分に確認できていないことから、未発見の虚偽表示が連結財務諸表に重要かつ広範な影響を及ぼす可能性がありますが、その影響を反映させる場合における連結財務諸表項目及び金額並びに注記が明らかでないため連結財務諸表には反映しておりません。
(コーポレート・ガバナンスに関する当社の是正状況について)
連結財務諸表注記43.追加情報(不適切な会計処理等について)「(1)第三者委員会による調査について」に記載しているとおり、当社は、2025年9月3日に第三者委員会を設置し、第三者委員会より2026年2月27日に調査報告書を受領し、同年4月17日に最終報告としての調査報告書(追補)を受領しました。調査報告書においては、当社及びグループ会社の多岐にわたる拠点で経営者の関与又は認識のもとにおいて、売上の早期計上、引当金の過少計上、棚卸資産の過大計上や固定資産の減損回避およびコストの資産計上といった不適切な会計処理が行われた旨が記載されております。さらに調査報告書では、当社及びグループ会社の経営者又は経理担当者が、会計監査人の同意を得るために、会計監査人に対して、不正確又は誤解を招く情報を提供したり、関連文書を隠蔽したり、改ざんされた記録を提供したりしていたことが確認されております。なお、第三者委員会が特定した事実に基づく不適切な会計処理等は、連結財務諸表において修正しております。
また、同注記「(2)品質に関する不適切行為の疑義に対する社内調査について」に記載しているとおり、当社は、品質管理に関する不適切行為の疑義に係る調査を完了し、複数の生産拠点において試験・検査記録の偽造、不適合材料の無許可使用が識別されております。さらに、同注記「(3)その他の社内調査等について」に記載しているとおり、当社は、貿易取引及び関税に係る諸問題等の調査を完了し、輸入取引に関する関税の過少申告等が識別されております。なお、これらの関連する費用、負債及び注記は、連結財務諸表において修正しております。
しかしながら、当社及びグループ会社において、同注記(1)ないし(3)に記載している不適切な会計処理等に関与、指示、又は認識していた、あるいは会計監査人に対して虚偽の説明を行った役職員の一部を特定し、適切な人事的是正措置を決定するための評価及び人事的是正措置を進めているものの、その一部は完了しておりません。その結果、不適切な会計処理等に関与、指示、又は認識していた、あるいは会計監査人に対して虚偽の説明を行った役職員の一部は、現時点においてもなお、当社及びグループ会社の財務報告プロセスにおいて責任ある立場を担っております。
当社は、当社及びグループ会社において、不適切な会計処理等に関与した役職員の適切な人事的是正措置を決定するための評価及び人事的是正措置が行われているものの、その一部が完了しておらず、また、後任者についても財務報告に係る責任を引き継いだうえでその職責を適切に遂行していることが十分に確認できていないため、全社的な内部統制に重要かつ広範な影響を及ぼす可能性があり、当社及びグループ会社の全社的な内部統制に及ぼす影響を評価することができなかったことから、当連結会計年度における財務報告に係る内部統制の評価結果を表明できないと判断しました。
Ⅰ.開示すべき重要な不備の内容
本事案及び貿易コンプライアンス問題に関して、開示すべき重要な不備として以下を認識しております。
<本事案に関して識別された開示すべき重要な不備>
(全社的な内部統制)
・統制環境、リスクの評価と対応、情報と伝達
当社においては、当社の創業者である元グローバルグループ代表(2025年12月19日付にて辞任。以下、「元代表」といいます。)に、車載事業本部、小型モータ事業本部及び機械事業本部、並びに国内グループ会社に関する権限が集中していました。制度上も国内グループ会社における執行役員人事の最終決定権や報酬決定権、稟議決裁権限を有しており、当社の役職員は元代表の判断に依存し、その意向を優先する傾向にあり、異なる意見を述べにくく、牽制が十分に機能しない状況が生じていました。
元代表はこれらの権限に基づいて、当社グループの経営幹部に非現実的で達成困難な利益目標達成に向けたプレッシャーをかけていました。元代表は株価や株式時価総額の水準を維持・向上することを過度に重視しており、その結果、当社グループでは、過度な株価至上主義の下で、各事業の実力を踏まえた利益目標ではなく、投資家目線での業績水準を基準とした非現実的で達成困難な利益目標が設定されていました。このような利益目標について、当社の一部の経営陣による過度な業績管理を通じて達成が求められる状況にあり、例えば、利益目標が未達となる可能性がある場合には、一日に数回にわたり進捗管理や目標数値達成に向けた確認が行われていました。また、決算期末日後であっても、利益の速報値が未達である場合には、決算締切りまでに数値を積み上げる指示がなされていました。さらに、利益目標が未達となった場合には過度に厳しい指導が行われていました。このような状況の下で、負の遺産と呼ばれる資産性にリスクのある資産の費用及び損失処理についても、一定の利益水準の確保やその後のV字回復が前提となっていたため、抜本的な対策を講じることができず、負の遺産が適切に処理されない状況が継続しました。
また、制度面においても、営業利益に対する目標達成割合に偏重した事業の業績評価制度や、特に当社執行役員を対象とした、運用上業績を重視し行動面の軽視につながる人事評価制度により、コンプライアンスよりも短期的な利益を最優先し、利益目標の未達を許容しない企業風土が醸成され、当社グループの多岐にわたる拠点において、利益目標の達成を目的とした多数の会計不正が発生するに至りました。
さらに、重要なリスク情報の取締役会への報告義務が一部を除いて明確に定められていなかったことから、取締役会及び監査等委員会に対して重要なリスク情報や事業計画の進捗状況が十分に報告されていませんでした。その結果、取締役会及び監査等委員会は重要なリスクを適切に識別・評価できず、また、必要な対応を行うことができなかったため、監督・牽制機能が十分に発揮されていませんでした。加えて、社外取締役についても、学識経験者や行政出身者が中心となっており、執行側に対し多角的な視点からリスクの確認・指摘を行えるような構成とは必ずしもなっておらず、このような状況を早期に把握し是正するための監督機能が十分に機能していませんでした。
・統制活動
当社グループでは、多くの事業本部及び国内グループ会社のCFOやその傘下である経理部門が業績達成の責任を負っており、事業部門から独立した立場を保持しておらず、強い業績プレッシャーに晒されていました。このような状況の下で、経理部門と事業部門が連携して、利益目標の達成を目的として会計不正に関与しており、本来、事業部門から独立した第2線としての経理部門の牽制機能は、有効に機能していませんでした。
・モニタリング
経営管理監査部は、当社グループにおいて会計不正が頻発する根本原因が当社の一部の経営陣からの過度な業績プレッシャーにあることを認識していましたが、調査範囲を拡大するような深掘り調査を実施するなどの根本原因に踏み込んだ対応を行っていませんでした。このため、第3線としての経営管理監査部のモニタリング機能は、十分に機能していませんでした。
(全社的な観点で評価することが適切な決算・財務報告プロセスに係る内部統制)
当社のグループ会計方針であるNidec global Accounting Policy(以下、「NIAP」といいます。)は、国際会計基準に準拠したルールや定義に加え、一部の会計処理にかかる指針や例外処理を規定しています。
しかし、NIAPにおいて、事業特性を踏まえた具体的な判断基準の記載が十分でないことから、運用上、NIAPの拡大解釈や逸脱した解釈がされる余地がありました。具体的には、NIAPの記載のみでは一義的な判断が困難な場合、選択した会計処理方針について経理部門の承認を得るための申請の仕組みがありましたが、当該申請が常態化し、NIAPの運用が形骸化していました。その結果、経理部門は事業部門の意向に沿う形で、NIAPの拡大解釈や逸脱した解釈に基づく会計処理を許容し、会計不正が行われていました。
(業務プロセスに係る内部統制)
上記の状況において識別された、全社的な内部統制(統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達及びモニタリング)と全社的な観点で評価することが適切な決算・財務報告プロセスに係る内部統制の不備により、既存の業務プロセスに係る内部統制は無効化され、当社グループの多岐にわたる事業拠点や業務プロセスで発生した多数の会計不正を未然に防止することができませんでした。
<貿易コンプライアンス問題に関して識別された開示すべき重要な不備>
(全社的な内部統制)
貿易コンプライアンス問題について外部専門家に委嘱して調査を行ったところ、当社グループの対米輸出において原産地国表示の誤りが発見されました。このため、当社の各拠点からの対米輸出(2021年3月期から2026年3月期まで)に係る主要な輸入拠点の全取引を対象に統計的サンプリング調査を実施した結果、米国への輸入申告における関税分類、原産地国、通商優遇協定に基づく特恵適用及び輸入価格に関し、一部に誤りがあることが判明しました。この誤りは、関係者の貿易知識やコンプライアンス意識が十分でなかったこと(当社の全社的な内部統制:統制環境)に加え、当社グループにおいて貿易業務の標準化が十分でなかったこと(当社の全社的な内部統制:統制活動)が原因として挙げられます。
また、前連結会計年度において、FIR社の貿易取引上の問題に関して、以下の開示すべき重要な不備を識別していました。
<FIR社の貿易取引上の問題に関して識別された開示すべき重要な不備>
FIR社の問題については、問題認識後に適時に連結財務諸表に反映できなかった親会社としての当社に主な原因があったものと認識し、以下の開示すべき重要な不備を識別しています。
(全社的な内部統制)
法令違反の可能性が疑われる行為に関する情報の共有を受けた当社の役職員が、その情報について定められたルートに従って当社経営陣に対する報告を行わなかったことから、重要なリスク情報について社内で必要な協議や検討対応が行われず、早期是正の機会を失ったこと(当社の全社的な内部統制:情報と伝達)が原因として挙げられます。
(経理決算プロセスに係る内部統制)
当社が連結決算に反映させるべき重要なリスク情報を網羅的に収集する内部統制が適切に整備されていなかったこと(当社の経理決算プロセスに係る内部統制)が原因として挙げられます。
Ⅱ.再発防止策の内容
当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を十分に認識しており、開示すべき重要な不備を是正するために、当社グループにおいて、以下の再発防止策を速やかに策定、実行することで財務報告の信頼性を確保していきます。
<本事案に関して識別された開示すべき重要な不備に関する再発防止策>
全社的な内部統制(統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達及びモニタリング)と全社的な観点で評価することが適切な決算・財務報告プロセスに係る内部統制が、各業務プロセスを含む当社グループ全体の内部統制を有効に機能させるための基盤となることを踏まえ、以下の再発防止策を策定しております。
(全社的な内部統制(統制環境)に係る内部統制の不備に対する再発防止策)
(1)企業風土の変革、コンプライアンス教育の充実
①企業風土の変革
・企業風土改革を推進する新組織の設立による従業員からの意見収集
・階層別企業風土研修の実施
・社員との対話機会の創出
・経営層による行動変革
・社員による行動変革
・当社各部門・グループ会社・グローバル各社での改善活動
・施策の実施状況の透明性確保
②コンプライアンス教育の充実
・入社時・定期研修におけるコンプライアンス教育の充実
・グループ全体へのコンプライアンス教育の徹底と本事案の継続的な周知
③責任の明確化
・役員責任調査委員会の設置
・執行役員より下の階層の職員及び当社グループ会社役職員に対する必要な処分の実施
・第三者委員会の調査報告書等を受けての人事対応
(2)人事関連制度の見直し
①人事評価制度の見直し
・業績以外の目標設定と評価の徹底
・制度理解向上施策の実施
②役員報酬評価基準の見直しと報酬決定プロセスの実効性強化
・役員報酬評価基準の見直し
・報酬決定プロセスの実効性向上のための対応策実施
③執行役員指名の基準見直しと実効性の強化
・選任基準の見直し及び解任基準の策定
・執行役員選任プロセスの実効性向上のための対応策実施
(3)事業計画策定・管理方法の見直し
①中期経営計画・事業計画策定プロセスの再整備
・中期経営計画・事業計画策定ルールの再定義及び明文化
・中期経営計画・事業計画検討体制(チーム制)の構築
・中期経営計画・事業計画策定プロセスの強化
②予実管理プロセスの適正化
・予実管理における業績管理値の変更
・実績分析及び対策の検討、次期計画精度向上のための対応策実施
③事業評価基準の見直し
・計数項目の見直し
・評価項目の追加
(全社的な内部統制(統制環境、リスクの評価と対応及び情報と伝達)に係る内部統制の不備に対する再発防止策)
(4)取締役会及び監査等委員会の実効性向上
・業績目標の妥当性に対する取締役会の監督の実効性向上のための対応策実施
・重要リスク情報共有体制の整備と監督機能の強化
・監査等委員会の実効性向上のための対応策実施
・取締役会の専門性の多様化による監督機能の強化
・社外取締役のサポート体制の拡充
(全社的な内部統制(統制活動)に係る内部統制の不備に対する再発防止策)
(5)経理機能の事業部門からの独立性の確保
・経理機能の独立性の確保
・経理リソースの確保
・経理に関する意識改革・教育
・経理ガバナンスの強化
(全社的な内部統制(モニタリング)に係る内部統制の不備に対する再発防止策)
(6)内部監査体制の強化
・監査等委員会との連携による独立性の強化
・内部監査の対象法人の拡大と監査品質向上のための対応策実施
(全社的な観点で評価することが適切な決算・財務報告プロセスに係る内部統制の不備に対する再発防止策)
(7)会計方針の明確化と運用の適正化
・NIAPの見直し及び例外申請の廃止
・NIAPの周知徹底
・NIAPの準拠性宣誓の仕組みの導入
・事業本部・国内グループ会社に対するレビュー
<貿易コンプライアンス問題に関して識別された開示すべき重要な不備に関する再発防止策>
(全社的な内部統制(統制環境)に係る内部統制の不備に対する再発防止策)
(1)教育研修の実施
・貿易コンプライアンスに関する研修の実施
・コンプライアンスの重要性についての継続的な発信
(全社的な内部統制(統制活動)に係る内部統制の不備に対する再発防止策)
(2)SOP(標準業務手順書)の策定・展開
・「関税対応マニュアル」及び「関税対応ハンドブック」の策定・展開
・SOP(標準業務手順書)の策定・展開
<FIR社の貿易取引上の問題に関して識別された開示すべき重要な不備に関する再発防止策>
(全社的な内部統制(情報と伝達)及び経理決算プロセスに係る内部統制の不備に対する再発防止策)
(1)コンプライアンス最優先の意識/企業風土の醸成
・当社取締役会から当社グループ内に対する明確なメッセージの発信
・人事処分を通じたコンプライアンスを最優先にした対応の必要性の周知徹底
・法務・コンプライアンス部門の機能強化・権限強化
(2)組織・体制の強化
・貿易コンプライアンス体制の強化
・グローバルコンプライアンス体制の強化
(3)手順・規程・仕組みの改善
・当社グループのレポーティングラインの改善
・当社グループ法務・コンプライアンス部門間の情報共有
・内部統制の適切な整備
4 【付記事項】
当社は、前連結会計年度及び当連結会計年度において開示すべき重要な不備を識別しております。開示すべき重要な不備を是正するために以下の再発防止策を実行しました。
Ⅰ.前連結会計年度に識別された開示すべき重要な不備の是正状況
<FIR社の貿易取引上の問題に関して識別された開示すべき重要な不備に関する再発防止策>
前連結会計年度において、当社の連結子会社で家電・車載事業統括本部家電産業事業本部下のFIR社に関する貿易取引上の問題を認識し、国際貿易法及び関税法の経験を有する外部専門家に調査を依頼しました。その結果、FIR社製造のモータについて、米国における原産国申告に誤りがあり、未払関税が発生している事実を認識しました。かかる調査結果を踏まえて、当社は、外部専門家とともに、更なる社内調査・検討を行いこの問題への対処を進めました。
FIR社の問題については、問題認識後に適時に連結財務諸表に反映できなかった親会社としての当社に主な原因があったものと認識しています。具体的には、法令違反の可能性が疑われる行為に関する情報の共有を受けた当社の役職員が、その情報について定められたルートに従って当社経営陣に対する報告を行わなかったことから、重要なリスク情報について社内で必要な協議や検討対応が行われず、早期是正の機会を失ったこと(当社の全社的な内部統制:情報と伝達)、及び当社が連結決算に反映させるべき重要なリスク情報を網羅的に収集する内部統制が適切に整備されていなかったこと(当社の経理決算プロセスに係る内部統制)を開示すべき重要な不備として識別しました。
前連結会計年度に識別された開示すべき重要な不備を是正するために、当社は以下の再発防止策を実行しました。
(当社の全社的な内部統制(情報と伝達)及び経理決算プロセスに係る内部統制の不備に対する再発防止策)
(1)コンプライアンス最優先の意識/企業風土の醸成
項目 | 実施した再発防止策 |
メッセージの発信 | 当社取締役会から当社グループの全役職員に対して、コンプライアンス違反に対する厳格な姿勢と迅速な対応方針を中核とするコンプライアンス最優先の明確なメッセージを2025年9月に発信しました。また、当社代表取締役社長からグローバル幹部に対して、コンプライアンス最優先を企業文化として根付かせることを経営の最優先課題とすること、全役職員が高い倫理観、誠実性を持って自律的に行動することの明確なメッセージを継続的に発信しています。 |
人事処分内容の周知 | FIR社の問題に関与した関係者の処分を実施し、処分内容を社内向け説明会で説明するとともに、コンプライアンスを最優先にした対応の必要性を周知しました。 |
法務・コンプライアンス部門の機能強化・権限強化 | 法務・コンプライアンス部門において、最高法務責任者(Chief Legal Officer(CLO))及び部長クラスに社内弁護士を配置し、専門知識を活用できる体制を整備しました。また、米国における貿易コンプライアンスに関する権限を米州統括会社に付与しました。 |
(2)組織・体制の強化
項目 | 実施した再発防止策 |
貿易コンプライアンス体制の強化 | 当社の貿易コンプライアンス室の役割を明確化し、関税専門家(世界税関機構(WCO)勤務経験者)を貿易コンプライアンス室長として任命するとともに、貿易規制分野の進展状況を統括する専門家及び有識者からなるグローバル貿易戦略チームを設置しました。 |
グローバルコンプライアンス体制の強化 | CLO(最高法務責任者)の役職を設けて専門的知見と経験を有する人物を配置するとともに、北米にコンプライアンス専門家を配置しました。また、リスク情報の共有と即応能力の向上を図るため、当社による各地域の法務コンプライアンスオフィサーと隔週で会議を実施し連携を強化しました。 |
(3)手順・規程・仕組みの改善
項目 | 実施した再発防止策 |
レポーティングラインの改善 | FIR社の問題のような情報伝達の停滞を防ぐため、下記を規程で明文化しました。 1)重要なリスク情報は、直接当社の最高コンプライアンス責任者(CCO)に報告すること。 2)各地域法務コンプライアンスオフィサーが法令違反行為及び法令違反のおそれがある行為を認識した場合は、当社法務・コンプライアンス部門に報告すること。 |
当社グループ法務・コンプライアンス部門間の情報共有 | 法務・コンプライアンス部門が各地域法務担当者より、月次で訴訟案件に関するリスク情報の報告を受け、法務・コンプライアンス部門内で共有する体制を導入しました。 |
内部統制の適切な整備 | 訴訟案件に関するリスク情報について、データベースを構築してリスク分析を実施し経理部門に共有する体制を構築しました。また、内部通報に関する情報について、通報者特定につながり得る情報を削除、編集し、閲覧権者を限定したうえで経理部門に共有しています。 |
当社は、「3評価結果に関する事項」に記載のとおり、当連結会計年度において新たに全社的な内部統制(統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達及びモニタリング)及び全社的な観点で評価することが適切な決算・財務報告プロセスに係る内部統制に開示すべき重要な不備を識別しています。このため、前連結会計年度に識別した開示すべき重要な不備に対して、上記の再発防止策は当連結会計年度の末日までに実施してはいるものの、当社の全社的な内部統制(情報と伝達)及び経理決算プロセスに関する開示すべき重要な不備の是正には至っていないものと評価しております。
Ⅱ.当連結会計年度末日後に実施した開示すべき重要な不備に対する是正措置等
当連結会計年度において識別した開示すべき重要な不備に対する再発防止策として、当連結会計年度末日後、本報告書提出日までに実施したものは以下のとおりです。
<本事案に関して識別された開示すべき重要な不備に関する再発防止策>
(全社的な内部統制(統制環境)に係る内部統制の不備に対する再発防止策)
(1)企業風土の変革、コンプライアンス教育の充実
①企業風土の変革
項目 | 実施した再発防止策 |
企業風土改革を推進する新組織の設立による従業員からの意見収集 | 従業員からの意見を確実に経営層へ伝達し、迅速な意思決定を得て施策へ反映して継続的かつ安定的に企業風土改革を推進するために設立したCulture Transformation Labを通じて従業員からの意見収集を開始しました。 |
階層別企業風土研修の実施 | 企業風土改革の取組みに関する社員の理解を促進し、当社のあるべき姿の土台となる「正しい姿」の共通認識を浸透させ、行動変容につなげることを目的として、国内外主要グループ会社の役員・管理職に加え、一般社員(従業員層)まで対象とした企業風土研修を実施しています。 |
社員との対話機会の創出 | 社員から直接意見を収集し企業風土変革のための具体的な施策検討につなげることを目的として、ワークショップや拠点インタビューを継続して実施しています。また、経営層が参加するタウンホールミーティングも継続的に実施しています。 |
経営層による行動変革 | 新たな経営体制の下で当社グループの変革を着実に推進するために、今後の改革の方向性及び当社グループが目指すべき姿を定めるとともに、これらの浸透を図ることを目的とした役員合宿を開催しました。また、社長から従業員向けのトップメッセージを継続的に発信しています。 |
社員による行動変革 | 社員から収集した意見を反映した施策の実施等を通じて、社員同士の交流が生まれやすい職場環境づくりを進めています。また、社員間のつながりを一層強固にし、日常のコミュニケーションを活性化させることを目的として、会社として感謝を伝える機会を設ける「感謝ウィーク」を実施しました。 |
当社各部門・グループ会社・グローバル各社での改善活動 | 当社の各部門、グループ会社及びグローバル各社においても、それぞれの職場の課題に応じた改善活動や、今後の取組みについて議論する勉強会を実施しました。また、各社の取組みとCulture Transformation Labとの間で情報連携等を行うことにより、施策を推進しています。 |
施策の実施状況の透明性確保 | 企業風土の変革に関する施策を社内ポータルサイトで公開し、検討状況及び対応の方向性を順次更新することにより、社員の意見の取扱いに関する透明性向上を図っています。 |
②コンプライアンス教育の充実
項目 | 実施した再発防止策 |
入社時・定期研修におけるコンプライアンス教育の充実 | コンプライアンス最優先の意識醸成ができるように、入社時・定期研修におけるコンプライアンス教育を充実させました。入社時研修では、当社の不適切な過去事例の紹介や企業風土改革等の今後の取組みの紹介を含め、当社グループのコンプライアンス体制等に対する理解を深めるとともに、コンプライアンス遵守を自分事として考える意識を醸成させ、絶対にコンプライアンス違反を犯さない、犯させないことを狙いとしています。 |
グループ全体へのコンプライアンス教育の徹底と本事案の継続的な周知 | 当社グループ全体でのコンプライアンス意識の継続的な維持を目的として、本事案における経緯、原因、教訓等を役職員に周知し、本事案を題材としたコンプライアンス教育を実施しました。 |
③責任の明確化
項目 | 実施した再発防止策 |
役員責任調査委員会の設置 | 当社グループにおける一連の会計不正問題に関し、当社の現旧の取締役、監査役又は執行役員において、その職務執行に関して任務懈怠責任があったか否かを含む法的責任の有無の検討・調査を行う、外部専門家のみで構成される役員責任調査委員会を設置しました。 |
第三者委員会の調査報告書等を受けての人事対応 | 第三者委員会の調査報告書等により、多岐にわたる拠点で多数の会計不正が長期にわたり行われてきたことが判明したことを受け、取締役及び執行役員等の人事処分を行いました。 |
(2)人事関連制度の見直し
①人事評価制度の見直し
項目 | 実施した再発防止策 |
業績以外の目標設定と評価の徹底 | 短期的な利益最優先の意識を是正し、「正しい」を常に優先する意識・企業風土を根付かせることを目的として、管理職の目標設定項目にコンプライアンスの観点を追加するとともに、短期的な成果創出を助長していた可能性のある現行制度を段階的に見直し、運用を開始しました。 |
制度理解向上施策の実施 | 人事評価制度に関する理解促進のために、当社の全従業員を対象とした説明会を実施した上で、評価の観点や目標設定方法を整理したハンドブックを改訂しました。また、適正な人事評価の運用が徹底されるよう、当社の評価者向けの目標設定研修を実施するとともに、国内グループ会社においても従業員向け説明及び評価者向けの目標設定研修を実施しました。 |
②役員報酬評価基準の見直しと報酬決定プロセスの実効性強化
項目 | 実施した再発防止策 |
役員報酬評価基準の見直し | 役員報酬評価基準の再設計を行い、短期インセンティブでは単年度の売上、営業利益及びフリーキャッシュフローに加えて、内部管理体制の視点からの要素も組み込んで策定した新たな役員報酬評価基準に基づき、プロセスや中長期の観点への意識付けを行っています。また、役員報酬評価基準をグローバルで統一し、適用範囲を拡大しました。 |
報酬決定プロセスの実効性向上のための対応策実施 | 報酬決定プロセスの実効性強化のため、報酬決定に必要な情報を適時適切に報酬委員に提供することにより、社外取締役である報酬委員の関与を強化する仕組みを構築しました。また、グローバルで統一された役員報酬評価基準に基づき報酬決定されているかについて、報酬委員会又は当社人事部門が確認することにより、役員報酬決定プロセスの透明性と一貫性を確保しました。 |
③執行役員指名の基準見直しと実効性の強化
項目 | 実施した再発防止策 |
選任基準の見直し及び解任基準の策定 | 執行役員の適格性を確保するため、執行役員の要件として、高い倫理観とコンプライアンス意識、組織構築と人材育成を通じたリーダーシップ、将来を見据えた戦略立案・実行等の観点を追加するとともに、当社グローバル経営幹部及び国内グループ会社CEOにも適用されるよう、選任基準の適用範囲を拡大するため、執行役員規程を改訂しました。また、執行役員の解任基準を策定し、選任基準を満たさない事象が生じた場合や社内規程に違反する重大な事実が生じた場合には、解任の審議を行うことができるようにしました。 |
執行役員選任プロセスの実効性向上のための対応策実施 | 指名候補者に関する多角的な情報を事前に指名委員会と共有することとし、2026年4月の執行役員選任において先行して実施しました。また、2027年4月の執行役員選任に向けて早期の段階から指名委員会と指名候補者との面談や交流の機会を増やすことにより、指名委員会による評価のプロセスを透明化し、客観性の確保を図ることとしています。また、全体として執行役員の選任プロセスの透明性と一貫性を確保するために、グローバルで統一された選任基準に基づき選任されているかについて、指名委員会又は当社人事部門が確認することとしました。 |
(3)事業計画策定・管理方法の見直し
①中期経営計画・事業計画策定プロセスの再整備
項目 | 実施した再発防止策 |
中期経営計画・事業計画策定ルールの再定義及び明文化 | 中期経営計画及び年度の事業計画の策定においては、各事業の特性や事業環境を踏まえた計画を策定する方針を採用し、当該方針に基づく運用を開始しております。 |
中期経営計画・事業計画検討体制(チーム制)の構築 | 事業本部・国内グループ会社はトップダウンで設定された目標の達成に責任を負うのではなく、計画策定の責任者を明確にし、当該責任者が自ら計画を策定する仕組みを構築しました。また、責任者を支援するチーム体制を構築しました。 |
中期経営計画・事業計画策定プロセスの強化 | 中期経営計画及び年度の事業計画について、当社の一部の経営層による属人的・恣意的な計画の策定や変更を防止するため、機関決定を行うことにしました。具体的には、中期経営計画策定の方向性及び検討プロセス等を経営会議及び取締役会にて協議し、中期経営計画策定プロセスを開始しております。 |
②予実管理プロセスの適正化
項目 | 実施した再発防止策 |
予実管理における業績管理値の変更 | 事業部門の判断を伴う月次見込値を日次で報告する管理体制及び業績会議を廃止し、事業部門の判断を伴わない月次財務実績値を中心とした予実管理を開始しました。 |
実績分析及び対策の検討、次期計画精度向上のための対応策実施 | 月次実績と年次計画との間の乖離理由を分析し原因を検証した上で、計画自体の期中見直しや実行可能な施策の検討を行っております。 |
③事業評価基準の見直し
項目 | 実施した再発防止策 |
計数項目の見直し | 営業利益額に偏った事業評価基準を、キャッシュフローやバランスシートを含めた多面的な評価基準へと改めました。 |
評価項目の追加 | 目標達成度を主な事業評価基準とするとともに、中長期視点からの指標を事業評価項目に追加しました。 |
(全社的な内部統制(統制環境、リスクの評価と対応及び情報と伝達)に係る内部統制の不備に対する再発防止策)
(4)取締役会及び監査等委員会の実効性向上
項目 | 実施した再発防止策 |
業績目標の妥当性に対する取締役会の監督の実効性向上のための対応策実施 | 事業計画や業績目標については、取締役会が計画の根拠となる前提条件の合理性、リスク認識の妥当性、及び目標設定に向けた検討プロセスの健全性に焦点を当てた監督を行い、事業計画の進捗状況を定期的にフォローアップし、目標の見直しの要否等を審議します。具体的には、事業計画の策定及び計画の進捗状況のフォローアップのため、取締役会規程を改訂し、事業計画に関連する取締役会付議事項を整理するとともに、「取締役会審議スケジュール」を取締役会の承認のもとで策定することで、事業計画に係る審議を取締役会にて行うこととし、事業計画の審議及び進捗状況のフォローアップを開始しています。 |
重要リスク情報共有体制の整備と監督機能の強化 | 取締役会規程において重要なリスク情報を取締役会に報告することとしたことを受けて、取締役会に報告すべき重要なリスク情報の定義や報告要否判断の基準を明確にするために、リスク管理規程と危機管理規程を見直しました。 |
監査等委員会の実効性向上のための対応策実施 | 経営管理監査部から監査等委員会への内部監査結果の定期的な報告や監査等委員会・経営管理監査部・会計監査人の三者による定期的な意見交換会を四半期ごとに行っています。 |
取締役会の専門性の多様化による監督機能の強化 | より幅広い視点から監督機能を発揮することができる取締役会の陣容とするため、指名委員会において、社外取締役については上場企業の経営経験者や会計専門家等を含む多様な専門性を有する人材を選任することを含む、取締役会の構成の要件を明確化しました。当該構成要件に基づいて取締役の候補選定を進め、2026年6月開催の定時株主総会において、提案した全ての取締役候補の選任が承認されました。 |
社外取締役のサポート体制の拡充 | 社外取締役が必要とする情報を適時に入手し、要点を踏まえて判断できる環境を整備するために取締役会室を新設しました。また、社外取締役から外部専門家を活用する場合の窓口を担うことを取締役会室の業務分掌として明記しました。 |
(全社的な内部統制(統制活動)に係る内部統制の不備に対する再発防止策)
(5)経理機能の事業部門からの独立性の確保
項目 | 実施した再発防止策 |
経理機能の独立性の確保 | 経理部門について、制度決算を担う経理機能と経営戦略実行のモニタリング等を担う事業管理機能に分化しました。また、事業本部及び国内グループ会社の経理機能を当社の経理機能の管掌下に置くとともに、事業本部及び国内グループ会社のCFOの選解任を決定するにあたり、当社CFOが事前に内容を確認する体制としました。 事業本部及び国内グループ会社の経理責任者に対する人事評価について、事業本部及び国内グループ会社CFOが評価結果及びその理由を当社CFOに報告する義務を負うものとし、当社CFOが評価の公正さと適正さを確認できる体制としました。 組織として正しい実績値を報告できる体制を担保するため、デュアルレポートラインを整備しました。具体的には、事業本部及び国内グループ会社のCFOのレポートラインは、所属組織のCEO及び当社CFOとし、事業本部及び国内グループ会社の経理責任者のレポートラインは、所属組織のCFO及び当社経理責任者としました。 |
経理リソースの確保 | 採用及び配置転換による人員体制の補強には一定の期間を要することから、当面の間、外部専門人材を活用することにより、経理リソースを増強しております。 |
経理に関する意識改革・教育 | 投資家・市場に対する誠実な姿勢の徹底、適正な財務報告の確保及びコンプライアンスに対する理解と意識の向上を目的として、経営幹部、経理業務に従事する役職員、購買・生産管理部門及び営業部門に従事する役職員を対象に、実際に発生した会計不正事案を題材とした研修を実施しました。 |
経理ガバナンスの強化 | 各グループ会社の重要な会計上・決算上のリスク情報を当社経理部門へ報告するプロセスを構築し、当該情報を当社において一元的に把握・管理するとともに、経営会議に共有しております。 |
(全社的な内部統制(モニタリング)に係る内部統制の不備に対する再発防止策)
(6)内部監査体制の強化
項目 | 実施した再発防止策 |
監査等委員会との連携による独立性の強化 | モニタリングが有効に機能する前提となる経営管理監査部の独立性を強化するために、経営管理監査部長の採用及び異動に当たっては、監査等委員会の事前同意を必要とすることを規程に明記し、運用を開始しました。また、内部監査の結果について四半期に1回以上、監査等委員会へ報告を実施しており、経営管理監査部が監査等委員会と情報連携できる機会を確保しております。 |
内部監査の対象法人の拡大と監査品質向上のための対応策実施 | モニタリング機能を強化するため、内部監査人員を増強し内部監査の対象法人を拡大しております。また、内部監査品質の向上を図るために企画管理グループを新設し、各内部監査項目のチェックリストの作成や監査調書の共通化を図りました。 |
(全社的な観点で評価することが適切な決算・財務報告プロセスに係る内部統制の不備に対する再発防止策)
(7)会計方針の明確化と運用の適正化
項目 | 実施した再発防止策 |
NIAPの見直し及び例外申請の廃止 | 会計方針を明確化するために、本事案及び各事業の実態に基づき、従前は必ずしも明確でなかった会計処理の判断基準について、事業実態に即した具体的なガイダンスを追加し、判断指針の明確化を図りました。また、NIAPの運用形骸化の要因となっていた例外申請を廃止しました。 |
NIAPの周知徹底 | 全ての事業本部及び国内グループ会社に対して、通達等で改訂後のNIAPの内容を展開するとともに、当社経理部門が使用しているイントラネット(NIAPO(Nidec Accounting Portal))にも展開しました。 |
NIAPの準拠性宣誓の仕組みの導入 | 本事案における会計自己点検の結果等に基づき作成した主要な会計論点のチェックリストを用いて、事業本部・国内グループ会社の経理責任者がNIAPへの準拠状況を確認の上、宣誓する仕組みを導入しました。 |
事業本部・国内グループ会社に対するレビュー | 各グループ会社が適切に決算を行っているかを当社経理部門が四半期ごとにレビューすることにより、事業本部・国内グループ会社の経理部門に対する監督の強化を図っています。 |
<貿易コンプライアンス問題に関して識別された開示すべき重要な不備に関する再発防止策>
(全社的な内部統制(統制環境)に係る内部統制の不備に対する再発防止策)
(1)教育研修の実施
項目 | 実施した再発防止策 |
貿易コンプライアンスに関する研修の実施 | 貿易に関与する役職員を対象として貿易コンプライアンスに関する研修を実施しました。 |
コンプライアンスの重要性についての継続的な発信 | グループ役職員向けのコンプライアンス研修において、改めてコンプライアンスの重要性について映像メッセージを発信しました。 |
(全社的な内部統制(統制活動)に係る内部統制の不備に対する再発防止策)
(2)SOP(標準業務手順書)の策定・展開
項目 | 実施した再発防止策 |
「関税対応マニュアル」及び「関税対応ハンドブック」の策定・展開 | 原産地国判定、関税分類及び自由貿易協定に関する業務を対象として、貿易管理に関する遵守事項を業務プロセス別に一覧化した「関税対応マニュアル」及び注意すべき事項を取りまとめた「関税対応ハンドブック」を策定しました。 |
SOP(標準業務手順書)の策定・展開 | 貿易コンプライアンスの実効性を確保するため、SOP(標準業務手順書)を策定しました。 |
5 【特記事項】
該当事項はありません。


